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先を越されて魔王になった勇者  作者: アトランタ
退屈こそ幸せ
6/7

無能な魔王と有能補佐官

山積みにされた資料に目を通す。


魔王補佐官高杉良一の能力・・・一回見たものを完全に記憶することができる。


「ちょっと、良一しっかり読んでるの?

一枚に一分と時間を掛けてないじゃない、これからTD魔界種族会議があるのよ!

しっかり答弁に答えられないと不信が強まるわよ!」


良一は資料を読み終えると会議場へ向かった。


「・・・貴方が新任魔王補佐官の、タカスギ リョウイチさんですか?

資料のほうには目を通して頂きましたか?」

ソワソワしている現魔王。

エルフ族なのだという、耳が異常に長く聴力が発達しているらしい。


「俺の言う通りに答弁を行ってください。

今回の会議で早速ある機関を立ち上げようと思っているんです。」


会議開始。


「えーと、魔王。

この農業用地の開拓の件についてはどのようにしていくおつもりですか。

まあ聞いても保留で終わらせる気でしょうが・・・。」

肘もちを付くワイバーン族の長”ワイバーン・サブノック・イザドル”は

現魔王が無能だということを知っているかのように露骨に態度に出す。


「い、いえ、保留ではなく西側の丘陵を開拓してください。

既に先遣隊を回し、土壌調査を行っています。」


「なっ!」

思わず声を上げるイザドル。

会議場に漂っていた投げやりな空気は一気に払われた。

何せ無能と謳われる現魔王がしっかりと回答しただけでなく、既に手を打っていたと

いうことに騒然となった。


「で、では首都における犯罪率軽減策を・・・」

沈黙のなかから一人が質問をする。


「それに関しては軍隊の再配備をし、治安維持軍を結成したいと思います。

更に再犯防止及び財政復活、失業率低下のため人類国境地帯周辺の山々に”ウルスラグナ要塞”を

建設したいと思います。

それと人類側への”諜報機関”を設立し―――」







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