魔王様の出会い3
冷ややかな風があたりを強く吹き付ける。
「な、何を・・・」
紅色に染まった手をぺろりと舐める、すると少女の目は紅眼から碧眼と色を変えた。
少女は首を傾げこちらを見ている。
至ってまともだという表情をしている彼女だったが良一が人間だということと魔王志願者と
いうことを思い出したのか質問をした。
「何故魔王になんてなろうと思った?」
ギロッと睨んでくる、どうやら素直に答えないと天に召されてしまうらしい。
「勇者と俺を選ばなかった奴らを見返すためだ。」
「勇者を見返すですって?貴方勇者になれなかった落ちぶれって訳?」
口元が緩む彼女。
「いや、俺は魔法に対する耐性が桁外れで奴(勇者)は魔力が桁外れだった訳だ。
試しに俺に攻撃してみればいい。」
「大層な自信ね、まぁそんなことはどうでもいいの。」
(どうでもいいのかよ・・・)
「貴方の名前は?私は”ノスフェラトゥ・バアル・ディルドレ”
吸血鬼と人類では呼ばれているそうね」
「俺は高杉良一、異世界から来た者だ。」
眉間に皺を寄せるディルドレ。
「異世界ね、まぁ良いわ。
ところで魔王は何をするか知ってる?
どうやら物語の魔王を想像しているようだけど実際は書類書いたり
マニフェストに判子を押すだけの単調な作業よ。
戦いは”今の魔族”では無理。」
ディルドレの顔は急に暗くなった。
その魔界もどうやら色々危機を抱えているようだ。
だが俺は何としても魔王になって勇者と戦わないと気が済まない。
「じゃあその貧弱な魔族を俺が改革するってことで、
それに俺は元居た世界で武器を作るアルバイトをしていたからな、
役に立つかもしれない。」
「そう、なら案内するわ。崩れかけの”首都プロステリー”に」