魔王様の出会い2
「人類種の勇者が魔族の長になりたいですって?笑わせないで。
人類種であるお前に長なんぞ務まるか。」
腕を組み、全裸である。
罵っているつもりだろうが全裸だ、17歳にとってはその罵倒もご褒美だ。
「ちょっと、聞いてるの?何ニヤニヤしてるのよ」
好色そうな目で見つめる高杉を不審に思ったのか警戒されている。
まだ原因が分かっていないようだ。
徐々に月にかかっていた雲が払われていく、R-18まであと一年なのだが
「あ、鼻血―――」
「血いいいいいいいい!!」
突風が吹いたと思うと月は雲に遮られ辺りは暗闇に包まれた。
体が宙を舞う、一瞬で地面に叩き付けられた。
「フガッ!!」
変な声と共に血が流れ出る。
どうやら衝撃で傷口がさらに広がったらしい。
鼻血を抑えるため鼻をつまもうと手を動かそうとしたが二の腕が上部から
圧迫されているみたいで動かない。
足をバタつかせてみるがその拘束を解くことには至らない。
冷たい物が顔に触れ、何かを探すように顔の上を這いずりまわる
離れたかと思えば生暖かい風が耳元にそよぐ。
雲が徐々に切れ月が顔を見せ始めた。
周りから見れば色々と問題のある状況、少女が馬乗りになっていたのだ。
その手のひらは深紅に染まっていて、それを弄ぶ金髪の少女がそこにいた。