9/23
9:店
彼女の後を歩き始め数分後
『ここが私のお店よ』
彼女が立ち止まったのは店とはとても言い難い
今にも崩れ落ちそうなボロ屋の前だった。
「あ、あぁ」
『なっなによ何か文句でもあるの?』
店もといボロ屋を見てなんとも言えずにいるルークを
セレナが睨みつける。
「いや魔術師の店なんてこんなもんだろ」
『これでもお年頃の女の子なんですけどっ!
ボロいと思うなら素直に言えばいいじゃないっ』
「あぁボロいね」
その瞬間、セレナの平手打ちがルークに、とぶ。
だが何でもないようにそれを避ける。
「いきなりなんだよ」
『確かに素直に言えとは言ったけど、本当に言う?
普通?』
「意味がわからない...」
やっぱり女というのはわからない、そう思うルーク
だった。
『もういいわ、ボロ屋とでも崩れ屋とでも好きに呼べばいいじゃない』
どうせ言ったら平手打ちが飛んでくるのだろう
そう考えルークは話を変える。
「それはそうとそろそろ店に入らないか?」
『それもそうね、どうぞお入りくださいませ〜
私の"お店"に』
どうやら店であることは譲れないらしい。
そしてルークは彼女の店に入ってゆく。