14:嘘つき
そう、僕にもわからない。なぜ僕が天使と悪魔、その両方と契約できるのか。天使と悪魔どちらと契約するにしても魂が1つ必要だ。人間には一つの魂しかないゆえに契約できるのは天使にしても悪魔にしても1人だけというわけだ。
昨日の夜は悪魔は僕の体を支配できなかったのか
そんなことを考えていると
『そうみたいだね』
どうだった?
心の中で天使に問う。
『彼女のおかげだよ、良かったじゃないか
悪魔の君への侵攻も遅くなっているみたいだよ』
本当に、なにも起きなかったのか?
『くどいよ君、少しは僕を信用しなよ』
僕は一度としてお前を信用したことなんかない。
『はは、君らしいや、それでこそいつもの君だ。
正直昨日は素直すぎて気持ち悪かったよ』
お前今すぐ殺してやろうか?
『僕を殺して困るのは君だと思うんだけど?』
いつか、必ず殺すそう誓って僕は部屋から出る。
『あれ、あなた街に行くの?確か今日、天統者が
来るんだっけ?』
そう僕に聞いてきたのは銀髪の美少女、セレナだ。
彼女はこれでも魔術師なのだ。
魔法使いも珍しいこの世界で魔術師まで上り詰めるのは、ほんの一握りの人間だ。
控えめに言っても彼女が凄まじい才能を持っているのは間違いない。
そんな彼女に答える。
「あぁ、ちょっと街に出てくるよ」
『そう、私は店で新しい薬品の調合をするわ』
そうして僕が店を出ようとすると、
『あ、あと!ちゃんと帰ってきてね』
なぜかそう言うのだった。
僕はもうここには戻らないつもりなのがわかったのか僕は天使を殺せばこの街を出る、そのつもりだった。心苦しかったが僕は彼女に嘘をついた。
「あぁ帰ってくるよ」
そして僕は店を出た。
『嘘つき』
ルークが店を出て少しすると、見目麗しい魔術師の
少女は一人で呟いた。