13:朝
どうやら聖護符が効いたようだ。
いつもある体の違和感が今日はない。
少し安堵すると共に体ではなく、体の外に違和感を
感じる。違和感...というか、
銀髪の少女だった。
銀髪の美少女が俺の胸元に顔うずめて
安らかな顔ですやすやとお眠りであった。
起こすのもどうかと思ったが
流石にこのまま寝た振りをするわけにも
いかないので彼女を起こすことにする。
「おい、君...えっとセレナ起きろ
ここは君のベッドじゃない」
『もぉ、なによまだ朝早いでしょ
起こさないでよぉ』
不覚にも寝起きの彼女の声は存外可愛いかった。
「いや朝早いとか、そういう問題じゃなくてだな
ここ、一応今は僕のベッドのはずなんだけど」
その瞬間薄く開かれていた彼女の薄紅色の目は
一気に見開かれ、彼女の透き通るような白い頬は
赤く染まっていた。
彼女はすぐさま跳ね起きるとベッドの上で正座をして
話始めた。
『え、えっとこれは襲おうとしたわけじゃなくてね⁈
ね?ほら私の聖護符がちゃんと効いてるかどうか気になっちゃって』
「なんで僕がすぐに聖護符を使うってわかったんだ?」
『そ、それはなんかこう、あなたの剣から嫌な感じが
してたっていうか、だからそのー』
「そうか、ならいいけど」
『その嫌なら答えなくていいのだけれど、
その剣って?』
ここまで知られて黙っている理由はないと思い
僕は話しだす。
「これは...魔剣だよ、悪魔が宿ってる。俺が契約してる悪魔だよ、まぁこいつは僕を喰う気満々だけど」
そう言ってルークは刀身が真っ黒の魔剣を手に取る。
『え?でもあなた聖剣も、持ってたわよね?
1人の人間が契約できる天使と悪魔は1人まで
じゃないの?』
「さあね僕にもそこんところはわかんないや」
そう言うと彼女は苦笑しながら僕に言った。
『あなたって本当に変な人ね』
その時の彼女の笑顔は本当に美しいと思った。