12/23
12:眠り
おい聞いてるんだろ出てこいよ。
ルークがそう心の中で呟くと
天使が実体化する。
『なんだよ、いつもは出てくるなって言うくせに
都合のいい時だけ呼び出すなんてさ虫がよすぎるん
じゃない?』
僕にしか見えない天使は出てきて早々愚痴を垂れる
仮にも見た目は見るものを虜にする、美しい翼に
頭には輪が浮かんでいる天使だが
本性は大衆のイメージとは、ほど遠い。
この聖護符効くと思うか?
『さあね、試してみれば?』
一つ頼むよ、今日だけでいいからもし僕が彼女を殺そうとしたら止めてくれ。
『へぇ君が僕に素直に頼む、なんていうのはめずらしいね。わかったよ、どうせ僕には君に逆らうことは出来ないんだし』
返事を聞き少年は聖護符を己の剣に貼り付ける。
「そろそろ時間か」
セレナに案内された部屋のベッドで静かに1人呟く。
『わたし、そろそろ寝るわね』
「あぁ」
部屋に入ってきたセレナに短く返事をする。
彼女が部屋を出て少しすると静かに少年の意識は
奪われ始めた。