11:聖護符
『お待たせ』
店の奥から銀髪美少女が出てくる。
「聖護符はあったのか?」
『ええ、これとかどうかしら?』
そう言ってセレナはルークに怪しげな模様が刻まれた札のような、聖護符を渡す。
『その聖護符は結構、聖気をこめて作ったから
どんな悪魔でも封じられるわ』
セレナは大して豊かでもない胸をはって自信満々に
告げる。
「これって効果はどれぐらい続くんだ?」
『んーと一週間ってところかしら?』
「わかった、助かるよ」
『次からは有料だからね』
「あぁわかったよ、暗くなってきたしそろそろ帰る
ことにするよ」
彼女はなぜか少し残念そうな顔をし、言った。
『帰るってあなた"旅人"なんでしょ?どこか泊まるあてでもあるの?』
「なんで、そんな含みのある言いかたをするのかということはさておき、宿に泊まってるから大丈夫だよ」
すると彼女はなぜか、顔を少し赤らめながら言う。
『よ、良かったら無料でうちに泊めてあげてもいいわよ。ほ、ほら私って天使のように優しいし』
「いや、いいよそこまで世話になるのも悪いし
それに天使は君みたいに優しくはない...」
『な、なんか怒ってる?わたし気にさわることでも言った⁈』
「いや、ごめん君のせいじゃないんだ
ほんとにごめん...」
『なら、いいんだけど』
『話戻すけど遠慮しなくていいのよ?
旅人に宿を無料で提供するなんてこの街じゃ
普通のことなんだから!』
断る理由はそこじゃないんだけどなぁ
俺の身を侵食する悪魔が彼女を狙わないとは限らない
そう思いつつ彼女に言う。
「俺なんかを泊めると死んじゃうかもしれないよ?
ほら今日僕が殺した魔人の仲間とかが僕を狙ってる
かもしれないし」
『なに?そんなにうちに泊まるのが嫌だって言うの?
この店は結界に守られているから大丈夫よ』
彼女は涙目になりながら俺に訴える。
「わ、わかったよお言葉に甘えさせてもらうよ」
女の子の涙には弱い少年だった。