♯21 バケモノ
第二十一話です。
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次回は水曜に更新したいと思います>>
2015年8月21日 無くなってから⇒亡くなってから に修正
奏吾がアルバイトを始めたのは、建前上自分の趣味にお金がかかるからだった。
血縁上の父親のお陰で、生きていくのに充分以上の金銭は毎月振り込まれていたし、マンションの賃貸料や光熱費も父親持ちだった。
他人から見れば羨ましがる生活。
しかし、奏吾は祖母と節約しながらも細々と生きていた少し前の方が好みだった。だから自分の趣味には金がかかるからと建前で隠していたが、アルバイトをしていたのはそういう生きているという実感めいたものが欲しかったからかもしれない。
高校では同じ趣味の友人と過ごす明るい少年。しかし家に帰ると一人で感情無く、独り言も喋らない。まるで修行中のような顔をして、奏吾は温度差のある生活に慣れ始めていた。
彼女と会ったのはそんな高校一年の秋の事だった。ごみを出そうと少し早目に家を出ると、隣の部屋の住人がちょうど同じようにごみを出す為に玄関を出たところだった。
奏吾が軽く会釈するとその女性は『アーッ、コンビニの~』と叫んだ。
話しをすると、奏吾のアルバイト先のコンビニの常連客だった。
その場は何気なく一緒にごみを出して、それぞれマンションを出た。
その日の夜、奏吾がバイトをしているとその彼女がやって来た。奏吾がバイトを上がる十時少し前。彼女は奏吾のレジへやってくるとニコリと笑って、レジを済ませるとコンビニの外で待っていた。
奏吾が仕事を終わらせて店を出ると、彼女は奏吾を待っていたと告げた。理由は『女性の夜の一人歩きは怖いから――』そういう事だった。
その日から時々奏吾と彼女は一緒に帰るようになった。その間に色々な話しをした。彼女が近くの大学の女子大生である事、半年前から付き合っている彼氏がいること。その彼氏が最近少し面倒な事。最近見た映画の話し、自分の高校生の頃の話し……。
二人の仲が親密になっていくのを奏吾は、そしてきっと彼女も感じていた。
それから暫くして冬になり、十二月二十四日。アルバイトを終えるとコンビニの前で彼女がいつものように待っていた。
ただいつもと違うのは彼女の顔が泣き腫らしていた事だった。二人で帰りながら、どうやら彼女の彼氏が浮気をしていた事が解ったと聞いた。そして今日それを問い詰め喧嘩して別れを告げたのだという。
恋愛の経験なんてほとんど無い、あったとしても一方的な二次元への片思いという奏吾は、何を言っていいのか解らず、ただただ彼女の話しを聞いていた。
マンションにつくころには彼女の顔はスッキリとしていた。言いたいことを言い、同時に多少自棄を起こしていたのかもしれない。
それぞれの部屋の前について、奏吾が別れの挨拶を告げた時だった。
「ねぇ奏吾君、今日ウチ泊まっていかない――?」
そうしてその日、奏吾は彼女と一夜を共にしたのだった。
翌日、奏吾の世界は薔薇色だった。何もかもが明るく見え、全てが華やいで見えた。浮かれていたと言えばそれまでだが、何より祖母が亡くなってから一年。擦れていこうとしていた温かさが、心を満たしていた。
誰かが自分を必要としてくれている。自分が誰かを必要としている。
それが一年近くの冷たい時間を、一気に温めなおしてくれていた。
学校も、アルバイトも――いつもと違って見えた。
そう、その時までは――。
その日もアルバイトだった奏吾は、バイトを終えると一人マンションへ戻っていた。
彼女が来てくれなかったことに一抹の寂しさは感じていたが、昨晩の出来事がその寂しさを払拭してくれていた。
マンションへ戻り、自分の部屋の鍵を開けようとしたその時だ。
ガシャン――と何かが割れる音が、彼女の部屋から聞こえてきた。それから何か言い争う声も――。
彼女の部屋のドアを開けると、見知らぬ男が彼女と言い争っていた。
すると彼女が奏吾に気づいた。それに男も反応する。
「なんだテメェ――」
男は奏吾を睨み、凄味を利かす。が、奏吾はまったく意に介さず彼女の元へと向かって行く。「大丈夫ですか?」と、
「無視すんじゃねぇ」と男は奏吾の胸倉を掴もうとするが、相手が悪かった。師父の修行に四年も子供ながらに耐えた奏吾である。
合気道の要領で、捌かれ倒されてしまう。何度も何度も、やってもやっても男は床への抱擁を繰り返した。
奏吾の強さに彼女も驚いていた。彼女から見れば、惹かれている分を差し引けば、奏吾はただの高校生だ。少し童顔ではあるが、それ故に可愛らしい、そんな少年だった。
だが男は諦めが悪かった。ポケットからナイフを取り出すと、奏吾に襲い掛かった。しかし相手が得物を持とうが、所詮ただの人間だった。腹に一発もらい、そして体勢を崩したところを投げた。
しかし此処で奏吾は重大なミスをしたことに気付かなかった。
男は性懲りもなく立ち上がると、彼女に対し罵倒を繰り返し『オレからこんなガキに乗り換えるのか!』と怒鳴った。此処で彼女がこれに肯定をしたのも問題だった。
男は『クッソォオオオオ!』と叫び声を上げると、再びナイフを片手に体当たりしてきた。奏吾はそれを軽くいなす。しかしこれは男の望むところだった。いなされた勢いそのままに男はナイフを振り上げると、彼女に切りつけた。
そして、彼女の右頬が裂けた。血が吹き出し絶叫がこだました。男はその光景を見て笑っている。
その瞬間、奏吾の中で何かがキレた。視界が真っ赤に燃え、気が付くと彼女の絶叫も止まっていた。
そこで奏吾は意識を取り戻した。目の前にあの男はいなかった。そして何故か自分は右手を男がいた方へ翳している。
男は何処へ行ったのだろうか――。その男のいた場所の側に彼女がへたり込んでいた。そして震えながら奏吾を見ていた。
その目はいつか、どこかで見た気がした。
「大丈夫ですか――?」
奏吾が彼女に近づこうとした時だ。
「く、来るな、バ――化物!」
そこでやっと奏吾は自分と、そして部屋中が真っ赤な血で塗りつぶされている事に気付き、気を失った。
彼女の絶叫を遠くに聞きながら。
奏吾が目を覚ましたのは病院だった。何故か父親がそこにいた。父親は奏吾が目を覚ますと『何も心配するな』と言って病室を出ていった。
それから暫く警察だという人達が、奏吾に話しを聞きに来た。
奏吾は彼等に何かを聞かれても、父親が連れてきた『弁護士』と名乗る人の言う通り『何もわからない』と繰り返した。
どうやら彼女も聞かれているらしいが、精神を病んでしまったのか荒唐無稽なことを繰り返していると言う。
曰く、男が浮いて――爆発したと。
確かに現場からは奏吾でも彼女でもない血液が大量に発見されていた。ただ肝心の遺体が欠片も見当たらず、爆発物の形跡も発見されなかった。
あったのは正体不明の大量の血液だけ。
その後、父親が何かしたのか、一月も後半になった頃には警察も来なくなった。そして二月には奏吾は昔の生活に戻っていた。そう彼女と出会うより前の生活に。
マンションに戻った時には彼女はいなかった。引っ越したと弁護士からは聞いたが、どうしているのかは未だにわからない。奏吾も父親から引っ越さないかと言われたが、断った。理由は特に無かった。
そう何も無かった。
自分があの男を殺したという実感も、感慨も、生きている実感も――ただ知らず知らず時間だけが過ぎていく。
二月が過ぎようとした頃、自分がある事を忘れていたのに気がついた。朝、夕にやっていた氣の制御の修行だった。
あの事件から何故かすっかり忘れてしまっていた。久しぶりに氣を全身に行き渡らせ、それから任意の所に凝らしていく。
それは右手に凝らしている時に起きた。フラッシュバックとでもいうのか、背筋が凍るような感覚。右手を翳す自分。それに合わせて苦しそうに呻きながら、宙を浮く男。そしてちょっと力を込めてやると、目の前に血の雨が降った。
「ウワァァアアアアアアアアアアアア――!!」
奏吾はその日以来、氣を使う事を封印した。しかしそれが解かれる日は意外に早かった。その五ヵ月後、奏吾が火事現場に飛び込んで人々をその封印していた氣で救け、そして異世界トリニタへ渡ったのは、七月の事である。
「これが、アンタ等が、この世界の人達が、不思議な魔法と言っているモノの正体だ。氣、って言う何故か俺がガキの頃から持っていた、得体の知れない化物の力だ。この力を使えば、アンタだって殺せる。実際に人を殺した。この世界以上に人を殺す事を戒める『平和』って文化の世界で。この世界でもゴブリンやトロルも殺した。トロルは頭だけ吹っ飛ばした。俺は――魔物も魔獣も殺せる。人も殺してしまう――他の人達とは違う――異端――化物なんだ。それが俺なんだ。この世界に来てやり直せると思った? 違う――忘れられると思った? そんな筈ない。無かったことに出来ると思った? 出来る訳ない。俺は人殺しだ。周りの人達を傷つけ殺して暴れまわる化物だ――それでも、この力を見てもアンタは怖いとも思わないのか――!?」
奏吾はいつの間にか泣いていた。あの日のように、あの時のように。
目の前にいる奴隷に向かって、一人の女性に向かって。
彼女とアーニャがダブらなかったと言ったらウソだ。自分の『お姉さん属性』にはほとほと呆れる。トラウマもある。わだかまりもある。
それでもあの時、アーニャの一言に揺らいでしまう。
オタクの哀しい性なのか、男の深い業なのか――。
それでも言える。自分には命を賭ける価値なんて無い。命を賭けられる資格なんてない。
あの世界でも、この世界でも、自分は異端。
生まれてきたことが間違いだった。存在することが災いだった。
中二病と言われようがどうでもいい。中二病だったらどれだけよかったか。
「俺は――俺は――化物――」
「あの、ソーゴ様……何か勘違いをなさっているような気がするのですが……」
その、アーニャのあまりにも緊張感の無い言い回しに、思わず奏吾は「へっ?」と変な返事をしてしまう。
「あの、一昨日ヘビーベアを倒した、あの黒い影のようなもの。あれはそのキとやらで行ったのですか? 先日の話しを聞いたり、思い出す限り、むしろ召喚された勇者が持つと言われる『守護霊』に酷似したものと思っていたのですが……」
「えっ、あ、ああ。そそうですね。ここまで話したら隠し事も何も無いですね、あれはコイツです」
奏吾はアーニャのその淡々とした質問に毒気を抜かれてしまったのか、口調が戻っていた。張りつめていた緊張感はもう部屋には無く、何故か朗らかな雰囲気さえ流れている。
その中で奏吾はカゲロウを呼び出した。
「えっと、コイツはカゲロウ……この世界に来る時に、変な医者? 神様からもらったチート? ギフト? 特殊能力?」
奏吾が説明しているとアーニャはカゲロウに近寄り、しゃがみながらカゲロウを撫でる。
「可愛いですね……たぶんこの子の事ですよ」
「何が?」
「皆さんがソーゴ様に言っていた不思議な魔法とか、言っていたモノ」
「いやいや、何言ってるの。だってこれはそもそもこの世界にはあるものでしょう? 勇者が持っていたっていうぐらいだし」
「確かにそうですけど、最後に勇者が現れたのが三百年前。誰も本物なんて見たことないですし。なんとなくですけど、これは召喚というよりは、創造? 魔力を具現化したような……妖精に近いのかな?」
「えっ、ちょっとまって。もし、その『守護霊』がワーカーさん達の言う、不思議な魔力だったとして、俺のこの“氣”ってなんだと思ってたの?」
奏吾はそう言うと右手にまた氣を凝らす。その色は既に赤くなく、トロルを相手にした時のような黄色いオーラが揺らめいでいる。
「ただの魔力ですけど……」
「はっ? 魔力……ただの?」
「ハイ。ただの魔力です」
「あのアクアムさんが言っていた顕現魔法とか契約魔法を使うための“魔力”?」
「そうです。使い方としてはちょっと珍しいですけど。ありふれた普通の魔力です」
「ごめん、ちょっと意味わからない。説明してもらえるかな?」
「はい、ソーゴ様の魔力は、比較的普通の、誰でも持っている魔力です。五大属性の話は聞かれましたか?」
「光、火、水、土、風だっけ?」
「そうです。魔力はソーゴ様の言う所のこの世界の住人なら、保有量の大小はありますが、誰でも持っています。それこそ人も亜人も魔族だろうが、普通の動物も持っています。
魔力は通常、生まれた時は特に属性をもっていません。そうですね無属性とでも言うんでしょうか。どの属性にもなれる真っ新な状態の魔力です。
この世界では魔力の高いモノは赤ん坊の頃からその片鱗が現れます。無属性の魔力が制御できず暴走して、先ほどの奏吾様のお話で言う所の『ぽるたがいすと』でしたっけ? それに似た現象が起こります。そうなるとその家族では宴会が開かれます。魔法使いになれるという素質があるという事なので」
えっと、特別な日に赤飯炊く感じだろうかと奏吾は想像する。
「その後、生まれた環境や育った環境によって、魔力は属性を持っていきます。なので光属性を覚えさせようと思ったら、早い段階からその赤ん坊をこの国では教院に預けるそうです。私はゾーマンの出身なので、此方に来てから知りましたが……」
「それで……?」
「はい、その後顕現できる魔法は属性が成長していくにつれて固定されます。それが四つの属性、火、水、土、風です。光だけは特殊と言うのは先程の説明した所為ですね。時折教院に行かずに光属性になる人もいますし、特殊な属性を持つ人もいます。また属性が二つ以上顕現できる人もいて、一つでも属性を顕現できれば魔法使い、二つなら魔術師、三つなら……」
「あっ、それは聞いた。えっとそれで俺の“氣”はなんになるの?」
「はい、なのでソーゴ様は先程の“無属性”になるかと思います」
「それは……珍しくないの?」
「そうですね。無属性を使って魔術を顕現させるのは珍しいです。けど無属性自体はたいして珍しくありません。だって魔法使い以外の魔法を顕現できない人達の属性は皆、無属性ですから」
「みんな?」
「はい、だからソーゴ様のその“氣”については無属性を顕現させるなんて珍しいなとは思いますが。他の方々にはゾーマンで学んだと仰ってましたし、ゾーマンはこの国と違って魔術体系が統一されてませんから。『ああ、そういう魔術もあるんだ。ちょっと珍しいな』ぐらいにしか思っていないと思います」
「えっとつまり総合すると――」
「ソーゴ様のいた前の世界では、魔力が無かったそうなので異端だったかもしれませんが、この世界ではソーゴ様はちょっと珍しいだけのただの人です」
そういうとアーニャはパチクリパチクリと瞬きをした。いつの間にかその腕の中でカゲロウが『ニァアア』と欠伸をしている。
「じゃ、じゃあ俺は、化物なんかじゃ、化物なんかじゃ――」
「はい、奏吾様は化物なんかじゃありません。私の大切なご主人様です――」
アーニャのその言葉を聞いた瞬間。奏吾はその場で膝から崩れ落ちた。慌ててアーニャがそれを支える。いきなり手放されたカゲロウは、不満そうに『ニアァ!』と鳴声を上げた。
「そっか、俺は、この世界では――バケモノじゃ」
「はい、化物なんかじゃありません」
奏吾は泣いていた。しかしそれは先程とは違う涙だった。頬を伝う感触に、微かにだが間違いなく温度を感じた。
アーニャはそれを見ると、少々驚いていたがすぐに優しく笑いかけると。奏吾の顔を自分の胸に埋め、奏吾を抱きすくめた。
バフッと、急に二つの柔らかいもに顔を挟まれ奏吾は驚いたが、優しい香りと共に懐かしい記憶が蘇ってきた。
それは十歳の頃、修行を終え帰ってきた奏吾に祖母が抱きすくめながら与えてくれたもの。
「もう大丈夫です。貴方は一人なんかじゃありません」
温もりだった。
妹 「みんさ~ん、お久しぶりです。現在名前募集中の妹ちゃんで~す。なんと二話ぶりの嘘予告のお時間ですよ~!!」
奏吾「いや、もうこれさぁ、嘘予告ですらないよね。地の文なくなりつつあるし、ほら、遂に「」の前に名前が入るようになっちゃったし……」
妹 「さたでは皆さんお待ちかねの答え合わせといきましょう。ではまずお兄ちゃんのお答えをどうぞ!!」
奏吾「なんのクイズ番組のノリ? というかクイズなんてやってないよ何も!」
妹 「はぁ……お兄ちゃん流石ですね。妹の存在を忘れていただけの事はあります。15話の嘘予告でちゃんと言ってたじゃないですか!」
奏吾「15話? っていうかなんかこのノリ……デジャブってんだけど」
妹 「言ったじゃないですか。私の存在の設定が公式なのかいなか? それは20話、21話。つまり前回と今回を読めば解るって!」
奏吾「なんかそんな事もあったような気が……それはあれか? 俺の実の父親が、俺と母さんを捨てた後に創った、許嫁との間に作った家族の中に女の子がいて、血筋上母違いの妹になるってこと?」
妹 「流石お兄ちゃん。あんな解り易いヒントを元に、よく推理できましたね!」
奏吾「それまったく褒め言葉じゃないからね。解り易いって言っちゃってるから!」
妹 「という訳で、お兄ちゃんの過去が遂に明らかになりました。しかしなんて事でしょう。地球でも出会えなかった、顔も知らない兄が……人殺しだったなんて……」
奏吾「……」
妹 「私は悲しいです。お兄ちゃんが、父の力を借りないとそんな事揉み消せないぐらい頼りない存在だったなんて……シクシク(ノД`)・゜・。」
奏吾「……って、え? なんか今シリアスな沈黙しちゃったけど、悲しいのそこなの? 権力的な問題なの?」
妹 「なに言ってるんですか、当たり前でしょう。殺人の一つや二つ揉み消せないようじゃ、この日本で政治家の息子なんてやってられませんよ!」
奏吾「待て、待て、待て! 全国の政治家さんに謝れ! そんな危ない政治家なんて実在しないから、絶対! きっと! たぶん……」
妹 「段々弱腰になりましたね。まぁ、チートがあったとはいえ事故のようなものですし。ある意味で正当防衛ですから、あんな屑のことは忘れてアーニャさんとイチャイチャする事を妹としてはお勧めします」
奏吾「俺の葛藤とか苦悩がギャグ扱いにされてる気がする……ん? ちょっと待て、やっぱり俺に妹なんて存在しないんじゃないか?」
妹「なんです、急に……ただでさえ目の前にこうしているのに。まだ疑うんですか?」
奏吾「いや、だって地の文が言ってたじゃない。『父には既に家族があった。父の後を継ぐ長男もいた。(20話参照)』って! つまりいるのは弟であり、妹はいない。君は偽物だ!」
妹 「明言してないだけじゃないですか。別に長男がいるってだけで、別に一人っ子とはいってませんよ。妹がいてもおかしくありません」
奏吾「あっ……」
妹 「という訳で、久しぶりの嘘予告は、今回のサブタイトル『バケモノ』にちなみまして兄のバカっぷりをご披露しました! という事で次回『異世界来る前からチート持ち ~ Racclimosa ~』♯22 『丸裸のアーニャ』 是非ご覧くださいね♪」
奏吾「……あっ、つまり『バカモノ』って事か……」