つまらん
「あーつまらんつまらんつまらんつまらんつまらんつまらんつまらんつまらん」
「バイトでもすれば?」
「あー飽きた飽きた飽きた飽きた飽きた飽きた飽きた飽きた飽きた飽きた」
「じゃあ私とデートでもしようか?」
「…ッ暇だ暇だ暇だ暇だ暇だ暇だ暇だ暇だ暇だ暇だ暇だ暇だ暇だ暇だ暇だ」
「何ちょっと動じてるのよ。こんな田舎じゃたいしていく場所なんてないでしょ」
「はー暇だなんなのこの生活マジつまらん人間って生きてる価値あんの?」
そういいながら彼はひたすら机に寝そべっている。
「じゃあ生きてる価値のある人ってどんな人だと思う?」
彼女は不思議そうに言う。
「そりゃあ…お金をたくさん持ってる人とか…」
「じゃあ私が銀行強盗してお金を人から奪っても生きてる価値はあるのかしら?」
「ぐぬぬ…」
「道徳観念はあるようね」
「ならば画期的な発明や実験をして技術やらなんやらを発達させた人だな」
「その人達にも高校生だった時代はあったのよ。もちろん人それぞれ環境は違うでしょうけど」
「俺はこんな環境で生きる価値のある人間になれると思うか?」
「【こんな環境】って言ってる時点で無理ね」
「なんで俺こんなつまらん環境なんだろ」
「勉強するために高校に来たんでしょう?何を期待しているのかしら」
「そりゃあ…同級生と仲よく遊んだり、部活でいい成績とったり、後輩から告白されたり…」
彼女は冷めていた顔に笑みを浮かべた。
「現時点で無理ね」
「くっ…客観的な理由をお聞かせ願おう」
「まず一つ目、この高校は小学中学と一貫だった学校にきわめて近いということ。友人は作れなくもないとは思うけれど浅い関係になるでしょうね。それに私たちは多数の人と一緒にいて会話できるほどコミュ力は高くないでしょう?」
「そもそも趣味が合わないんだよなぁあいつらなんだよ自己紹介で趣味は野球、サッカー、テニス、バスケ、楽器とリア充してるような奴等だし最後の奴に至ってはダンスだぜ?オクラホマミキサーでも踊ってろってんだ」
「私的にはマイムマイムのほうがおすすめね」
「そんなことはどうでもいいんだよ。ちなみに俺の趣味はオフゲにオンゲ、ネット、アニメに漫画と典型的な奴だった。俺の中学生時代はほすべてこれに費やした。部活もやっていない。」
「唐突な自分語りに草生える」
「キャラ崩れてんぞ」
「次に二つ目、さっき自分で言ってたわね。中学も部活をやってないあなたに高校からいきなり放課後を部活動に費やすなんて無理ね。今もひたすらダラダラし続けている。」
「なんつーか、もう人間関係が固まってるんだよなぁ…教室にこうして残っててもお前しかいないし…。ゲームも(以下略)も中学の時にやりつくして飽きちゃったんだよなぁ。」
「ふぅん」
「俺的にはさぁ中学とは違ってもっと人と関わりたいなぁなんて幻想もってんだよ。それなのにさー」
「へぇ」
「教室にはほかに誰も残ってないしぶっちゃけお前かわいいからこうして眺めながら会話してるってわけよ」
「そー」
「…。そんで三つ目は?」
「まだ1年生だから」
そうして彼女は18時になると同時に勉強道具をしまい帰り支度をはじめてしまった。
彼もそろそろ帰るかと思い、机を元の位置に戻した。
「どうしてそんなに勉強してるんだよ?」
「私も退屈だからよ」
「そうか」
そうして二人は各々帰途につく。
それが彼らの日常なのである。