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飛び降り自殺

作者: kisk

多少文章が歪んでおります・ω・)ノ

 ある女がビルの屋上から飛び降り自殺をしようとしていた。誰もがそのことに気づかず、彼女は「自分はこの世でいらない人なんだ」と悲愴感は募らせるばかりであった。

 ついに女は決意した。手すりの向こうに見えた地面には、無数の人々が蠢いていた。ここは23階、どう頭を回そうと簡単に死ぬことができる。

 女は手すりをまたがり、もう一度地上を眺める。

 「本当に誰も気づいてくれない」

 彼女はそう呟いた。

 そして、空中に身を投げた。




 10分ほど経ったことだろうか。

 女は困惑していた。

 助かった、というわけではない。また、死んだわけでもなかった。

 彼女はまだ、落ちていたのだ。

 いつまでたっても自分と地上との差だけがは縮まらず、時間だけが過ぎていく。だが、それでも彼女には落ちるという感覚があった。絶えず体には暴風が吹きつけ、視界に映る景色もしっかりと前進していた。でも地面に届かない。

 女は全身に恐怖を覚えた。それと同時に気を失った。




 女は眼が覚めた。

 景色は相変わらずだった。それが現実であると知った。

 「神様、どうして私を殺してくれないの?」

 彼女はまた夢の中へ飲み込まれた。




 何百回と気絶と覚醒を繰り返した彼女は、ほとんど心を失いかけていた。

 どれだけ神に祈っても、決して死ぬことはなかった。ついに彼女は「自分は神様にも受け入れられない」とまで思うようになり、絶望感が体全体を包んだ。

 彼女の手と目元はかすかに震えていた。




 もう何回落ちたかわからなくなったころ、彼女の景色が変わった。

 今までは下向きに落ちていた。だが今回は上空に向けて落ちていたのだ。

 「そういえば、しばらく太陽を見ていなかった」

 彼女は思わず口にした。彼女の言うとおり、太陽は容赦なく彼女に光を浴びせかけた。

 温かい空気が彼女の涙を拭った。

 そして彼女はまた目を閉じた。

 今回は気絶ではなく、睡眠であった。




 彼女が再び目を覚ますと、周りには何もなかった。

 ビルも地面も空も太陽も空気も、全て物がなかった。見えているのは真っ暗な空間だけであり、もはや目が開いているのか閉じているのかもわからなかった。

 彼女は溜息をつく。そして最後に一つ言葉を放った。


 「良かった」


 彼女は眠りに付いた。そして、二度と目を覚ますことはなかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 興味深いですね 読ませて頂きます
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