第1章4話:アールヴヘイム
「とにかく行きましょ.質問なら城で,父様が答えてくれるから.実はワタシもよく分かってないの.ほら行くわ
よ.兄様.」
とサラが言い,俺達はサラに先導されながら城に向かって歩き出した.
5分ぐらい歩いただろうか,森に切れ目があるなと思いながら,森を抜けると大きな湖とその奥に白い大きな城が建っていた.
そして,湖を小船で渡り,城の中に入った.その途中でいつの間にかアルフレッドはいなくなっていたが,3階まで階段を上って,大きな樫の扉をサラが開け,
「父様,連れて来たわよ.これでワタシ達にも説明してくれるんでしょ.」
と,中にいる人に向かって話しかけた.話しかけられた人は机で作業をしており,声が聞こえると顔をあげ,
「おぉ,ご苦労だったなサラ,それとアルも.”迷い人”の皆さんもここまで来てくださってありがとうございます.私はオレルアン・フォーカスで,このサラとアルの父親とこの国の王様やってます.さて,まず,あなた達の名前を聞かせてもらってもよろしいかな?いつまでも”迷い人”と呼んでは失礼なのでな.」
と言いながら微笑む白いひげを長く蓄えた老人の姿がそこにはあった.
「えっと,俺が北嶺疾風で槍,剣,杖を持ってる順に西条圭介,東火凜,美南沙希です.何点か質問してもいいでしょうか?」
と俺が代表で言い,他のみんなも俺が名前を言うと会釈で答えた.
「ほっほう.ハヤテ君にケイスケ君,カリンちゃん,サキちゃんだね.覚えたよ.さて,質問とは何かな?」
「まず,先程の話やサラさんの話の中にあった”迷い人”や”軍”とは何ですか?アルフレッドと呼ばれる青年が俺達に襲い掛かった理由もお願いします.」
「そうだね.”迷い人”とは君達のように別の世界から来た人達の総称だよ.今までにこの世界に来た人達は少年や少女が多いらしいね.”軍”は我が国と敵対しているミッドガルドの兵士達のことだね.最近,何部隊かこのあたりに攻めてくるって噂を聞いてね,偵察をかねてサラとアルに行かせたんだけど,まさか君達を拾ってくるとは思わなかったな.ハハッ」
と言って笑っていた.
「アルが君達を襲ったのは,昔ちょっとあって人嫌いなんだよ.今は大分落ち着いたと思ったんだけど,まだ駄目だったか.ごめんね.」
と次は落ち込みながら言った.
すると,今度はサラから,
「”迷い人”を連れて来させた理由は何なの?そこを聞いてないんだけど!」
と,今にもオレルアンに詰め寄りそうな勢いで言った.
「ああ,それを話してなかったか.いや,母さんが昔言ってたんだよ.この世界に紛争が始まるとき,迷い人がこの世に舞い降りて混乱を収めるだろうって.だから,通達を出してたんだよ,理由を言わないのは悪かった.まあ,四人も来るとは本当に思ってなかったんだ.」
とサラを落ち着かせながら言った.
「さて,疑問はこんな所かな.それで,君たちはこれからどうする?出来ればここに留まって欲しいんだけど.母さんからの言伝だし.」
と今度は俺達の方を向いて言うと,すぐに火凜が,
「いいわ.」
と即答した.
「でも条件があるの.それを聞いてもらってもいいかしら.」
と強気の発言をした.
「その条件とは?」
「まず,他にもこの世界のことを逐一教えて欲しいの.後は私達に戦い方を教えて.」
と答えた.オレルアンは
「そのくらいなら.でも,こちらからも一つだけお願いしてもいいかい?」
と聞き返すと,火凜は頷いた.するとオレルアンは
「サラとアルと仲良くしてやってくれ.そして,できればこの世界を救って欲しいな.母さんの願いを叶えたいんだ.」
と言った.
火凜は,
「一つじゃないじゃない.でも,いいわよ.任せて!」
と少し口調は怒りながらも,口は笑っていた.
オレルアンはその答えを聞くと,
「結構.では,ようこそ,エルフの国アールヴヘイムへ.第13代目国王オレルアン・フォーカス及び我が国民は”迷い人”いや,北嶺疾風,西条圭介,東火凜,美南沙希の四名を歓迎する.」
と笑顔で言い,
「じゃ,部屋と宴の準備だ.あと,この城にあるものは何でも使っていいからね.誰かいないか!」
と部屋を駆け足で出ていくと,サラが
「父様ったら,仕方ないわね.でも,ワタシからもよろしくね,みんな」
と語りかけた.
そして,その後すぐに宴会が始まり,俺達は場に流されたまま,異世界に飛ばされた一日目を終えた.




