第1章1話:森と悲鳴
どうなった?何が起きたんだ?
「・・・・・・」
何か声が聞こえてきた.何って言ってるんだろう?
「起きて.ねぇ,起きっててば!」
火凛の声だ.起きろってことは,俺は寝てるのか?でも,なんでそんなに焦ってるんだ?
「起きろって言ってんのよ!,疾風!」
ドコッ!
「グフッ」
急に体に強い強みが来て,俺は起き上がった.
「なんだ!どうしたんだよ!」
すぐそばに火凛が拳を握りしめて立っていた.
「やっと起きた.ねぇここ何処よ?どうなっているの?疾風」
火凛が俺に話しかけてきた.でも焦っっているのは変わっていない.
「何処も何も生徒会室だろ?俺達は最近の事件に関係していることについて調べてて,お前が意識不明になった人がみんな携帯ゲームに登録してるからやってみようって話になったじゃないか.」
「そうよ.みんなでゲームに登録したら急に携帯が光りだして,気付いたらここにいたのよ.何が生徒会室よ! 周りをよく見てみなさいよ!」
そう言われて,立ち上がり周りを見渡すと確かに生徒会室ではなく,どこかの森の中にいるみたいだった.
「本当だ?ここは何処なんだろう?学校の近くなのか?でもこんな森なかったはずだけど.」
「知らないからあんたに聞いたんでしょう?しかも圭介や沙希もいないし.なんか剣なんて持ってたし.」
もう一度周りを見渡すと確かに圭介も美南さんもいなかった.それに火凛の足元に剣が突き刺さっているのが見えた.そして俺の足元にも弓と矢筒が落ちていた.
「これって俺らがゲームを始めるときに選んだ武器じゃないのか?ということは今ゲームの中に入り込んでいるってことか?」
頭の中にあることを整理するためにブツブツとつぶやいた所,火凛の地獄耳が聞きつけてしまったようだ.
「ゲームの中なの?じゃ,どうやってここから帰るのよ?」
そんなの俺が知るかと言いたかったが,言っても無駄なので止めた.
「ともかく,その話は置いといて圭介や美南さんを探そう.それから考えても遅くはないだろ.」
「そうね.まずは沙希達ね.」
まだ,納得はしていないようだったが,圭介達が心配なのか,一応は追及するのを止めてくれたようだった.
「とりあえず,この付近をまず捜索するぞ.地理がまだ分からないから単独行動は止めよう.」
と俺は提案した.火凛も
「いくらあんたでもいたほうがましね.まずはこっちに行くわよ!」
と言って,火凛は南を指差した.
「ああ,分かった.でもここを中心に動きたいから,そっちに何もなかってもここに戻ってこれるようにお前の剣で目印をつけながら行こう.」
「分かったわ.なら早く行くわよ.ついて来なさい!」
というが早いか火凜は剣を抱えて走り出した.俺も矢筒を背負い,弓を持って火凛のに後を追った.
10分後・・・
南には何もなく森が続いているだけだったので元の場所に戻ってきていた.
「何処にいるのよ?」
火凛は息を乱しながら,怒ったように俺に言ってきた.
「怒っても仕方ないだろ.手がかりすらなかったんだから.次はどっちに行く?」
「怒ってないわよ!次はこっちよ!」
そういって火凛は東を指差した.
「きゃ~!」
その時,火凛が指差した方角から悲鳴が聞こえた.俺達は目を合わせるとともにその方向へ走り出した.




