第0章5話:情報収集
全校集会の後俺達は火凛に呼び出された.
「警察や教師は当てにならないから,この事件について私たちで調べるわよ!」
「急になんだよ.警察に任せとけばいいだろ.」
俺は火凛に反論した.
「何か嫌な予感がするのよ.いいから調べなさい!圭介は近隣の高校の行方不明者の出身中学や部活の調査,沙希はここ以外にも同じような事件が起きていないかの調査,あんたはこの学校での聞き込み,私はお父さんから情報を聞き出してみるわ.ともかく放課後に生徒会室に集合ね.授業は出なくていいから,校務にするよう話はつけたから,ほら解散!」
火凛は言い終わるとともに警視総監である父親に電話をかけ始めた.俺達は目を見合わせながら,火凛に言われた通りの行動を開始した.
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放課後,生徒会室に集まった俺たちは情報を交換し合っていた.
「この周辺以外にも行方不明者はいるみたい.いなくなった状況だけど,朝校長先生がおっしゃてたみたいに,携帯だけが残っていたそうよ.」
美南さんが自分が得た情報をホワイトボードに書きながら俺達に説明した.
「行方不明者の共通点は,同じ学校や塾,部活ぐらいだな.でも行方不明になった場所は自宅で一人の場合が多いの
に,見つかった時には複数で見つかって意識不明なんだよな.他は文科系の部員が多いぐらいで,男女の区別はねえ
な.」
圭介も自分の調べたことを説明すると同時に自分の見解を述べていた.
「俺も圭介に同じだったけど,俺が調べた中には一人で消えた奴もいるみたいだった.母親が話しかけて部屋を出た
後,話し忘れがあってもう一度入ると消えたんだそうだ.」
俺は説明し終えて,火凜に問いかけた.
「そっちはどうだったんだ?」
生徒会室の奥の机に座っていた火凛はこっちに近づいてくると同時にドヤ顔で携帯の画面を俺の目の前に持ってきやがった.
「これよ!これが怪しいの!」
「近くて見えないっての!”MagicSoldiers”?なんだこれは?」
俺は一歩後ろに下がり,画面を覗き込んで言った.
「今人気のRPGの携帯アプリよ.自分で兵士のアバターを作って自分の所属している国の領土を広げていって天下統一を目指すゲームみたいね.お父さん,詳しいことを教えてくれなかったから,勝手に部屋に忍び込んで,お父さんのPCから捜査記録を盗み見たんだけど,行方不明者は例外なく,このアプリをダウンロードしてたの.でも不思議なのよねぇ~,このことに気付いた捜査官もアプリをダウンロードしてゲームを起動させたらしいんだけど何も起こらなかったんだって.」
「ふぅ~ん.勝手に部屋に忍び込んだことは置いといて,ともかくここまで来たら何か進展する情報が
欲しいな.やってみようぜ.」
そして,俺達は携帯を取り出し,”MagicSoldiers”をダウンロードして起動させた.
「まずはプレイスタイルか.どうする?」
そこには一人プレイか協力プレイを選択できるようになっていた.
「4人もいるんだから.協力で!」
と火凛が言い,反対する理由もないので,俺達は協力プレイを選択し,メンバーの名前を入力した.
「次は兵種か.何にする?」
俺は,3人を見渡して言った.
「私は剣士ね.主人公っぽいから.」
火凛はすぐに決めてしまったようだ.
「私は魔導士かな?ゲームでも直接攻撃するのはちょっと・・・.それに魔法使いってちょっと恰好いいなって」
「俺は騎士にしておこう.戦士も捨てがたいけど斧しか使えないみたいだから.」
と美南さんも圭介も難なく決まったようだ.
「剣士に騎士に魔導士か,攻撃範囲が近距離と遠距離か,なら中・遠距離で攻撃できるような兵種を選ぶか.」
そして,兵種の部分をスクロールし,銃士,弓兵の部分を見つけた.銃という単語に胸の痛みを感じたが,何もなか
った顔と口調を心がけ,
「あった.じゃ俺は弓兵にするわ.お前らの援護が出来るように.」
と言い弓兵を選択しようとすると,火凛が俺を睨むような目を向けてきた.幼馴染様には,演技していることがばれているみたいだったが無視して,
「最後は,所属国か.説明を見る限りだと,産業の進んだ国と両国で戦争をしている国,周りを自然で囲まれた国いろいろあるみたいだな.」
俺は火凛を無視して,ゲームを先に進めた.
「私が決めるわ.」
と火凛が言いだし,携帯をスクロールさせて国を決め始めた.
「ここね.」
とボタンを押した瞬間周りが白い光で包まれ,そのショックで俺は意識を失った.
そして,光がおさまるころには人の姿は消えており,生徒会室には役員4人の鞄と携帯電話だけが残され,エルフの国,難易度SSと画面に書かれた携帯電話が残されていた.




