第1話 異世界転移者と王族姉妹
どうも伊南川弘樹と申します。
不定期投稿となりますができれば月1投稿するようにしますので応援お願い致します!
俺は何者かになりたかった。ヒーロー、芸能人、バーチャルアイドル、小説家、芸人、とにかく何でも良かった。
ネットで活躍しているバーチャルアイドルの狐少女と出会い、推すようになってから俺は誰かを元気、笑顔にする人間になりたいと思っていた。
だけど、大学卒業後、自身の性格や両親の事もあり、その道に行く事を諦めてた。
そんな俺、伊南川弘樹は日本広島県福山市で平凡に暮らしていた。ある日、俺はいつものように推しのバーチャルアイドルをパソコンで見ていたら、パソコンの画面から光が漏れだし俺を包み込む。
眩しくて俺は咄嗟に目を瞑る。しばらくして光が消え、目をゆっくり開けると見知らぬ空間にいた。
見渡す限り真っ暗な空間。その中に俺一人だけいる。
「ここ何処? 一体何が起こったか訳が分からん」
「そこの人、ようこそ。神の領域へ」
ん? 何処からか声が聞こえる。辺りを見ると一筋の光が輝いていて、そこに一人の少女が立っていた。
俺はその少女に近寄る。少女は薄い水色のロングヘアーで可愛らしい子だ。
「あのー、誰ですか?」
「私? 何言ってるの? 見たら分かるじゃん」
「だから誰ですか?」
「見たら分かるって言ってるじゃないですか。分からない感じ?」
なんかムカつく。可愛いのに台無しやないか!
よく見たら谷間が見える服装しているだけで普通の少女。背丈はやや小さく、年齢は中学生ぐらい。
「ほんとすみませんが見ても分からないのですが……」
「うもぅー、鈍臭いなぁー。神様よ! 私神様! か・み・さ・ま!」
へっ!? 神様!?
俺は目を疑ってしまう。だって、どっからどう見たって神様の格好していないし、風格もない。ただの餓鬼にしか見えないだが?
「お前さ、某異世界転生ものラノベの駄女神じゃん」
「誰があの水使い駄女神じゃい! 失礼な。私は正真正銘の女神だもん! 見た目は子供だけど頭脳は……」
「ストップ! ストップ! それ以上言うと色々とあれだから!」
「おっとそうでした。てへぺろ」
少女は少し舌を出して可愛いポーズをする。うん、こいつ殴って良いかな?
ぶっ飛ばしたい気持ちを抑える。
「女神か何か知らねぇーけど、俺を呼び出して何なんだ? 俺は暇じゃないから用がないなら帰るぞ」
「帰らないで! お願いだから!」
俺は帰ろうとしたら少女が泣きじゃくって足にしがみつく。
こいつ……駄々こねても駄目だから!
「今君に帰られた世界が! 終わっちゃうからお願い!」
うーん……世界を救うのは悪くない。誰かを笑顔にする人間になりたいから寧ろ好都合かな。
「世界が終わるって何で終わるんだ?」
「今は平和だけど、これから先に魔王が現れて世界は混沌へと変わる。私はそう感じる」
王道すぎる展開だな。ラノベや漫画によくある話。
この駄女神の言う事は信用に値しないが、帰った所でマンネリ化した日常を送るだけだし、異世界転移した方が面白そう。
「仕方ない。マンネリ化した日常にうんざりしていたからお前の話に乗ってやるよ」
「ほんと!!! ありがとう!」
目を輝かせる駄女神。こいつの為に異世界転移する訳ではない。
俺はただ何者かになりたいだけ。それがヒーローでもいい。
おそらく、刺激を欲しがっているだけかもしれない。今までの日常に満足していなく、何かを求めている。
駄女神は俺の足元に魔法陣を展開させる。
「それでは行ってらっしゃーい!」
なんか楽しんでないか? そう思わせるような態度で腹が立つ。
俺はまた光に包まれる。そして、光が消えるとまた見知らぬ場所へやって来た。
周りを見ると森のようだ。確かに日本の街並みではないし、日本にあるような森の雰囲気ではない。
辺りを見渡すと至る所に少し姿が違うが元いた世界の動物たちがいる。木々もコナラやスギ、松、シダ植物、コケなど見た事があるものばかり。
まずはここが異世界なのか確かめよう。魔法が使えるかとか色々ある。
試しに右手の掌を前に出す。駄女神が魔法陣を展開させた方法で魔法陣を展開させる。
すると、炎が出て一本の木に直撃して焼く。
次に左腕を振るうと氷が出る。ふむ、魔法陣を展開させなくても魔法は使えるのか。
右手を掲げると雷撃を纏う事ができた。
それからも色々と試した結果、たくさんの魔法を使える事が判明した。
(俺天才か!?)
もしかしたら、駄女神がくれた力なのかもしれない。そうだとしてもチート能力を手にしたな。
よし! とある方法を思いついた。
駄女神にどう思われるかは予想はつくがやってみる。
俺は見かけた狐を一瞬で捕まえて毛を一本抜いて逃がす。
ナイフを出現させ、それを右手に持ち左手首付近を軽く斬る。二滴だけ血を出して浮かす。俺自身の血と狐の遺伝子を混ぜ合わせる。
その血から徐々に人間へとなっていく。十歳ぐらいの二人の少女へ完全になる。
「よっしゃ! 出来た。まさか出来るとは思ってなかったがやればできる子なんだな。俺」
一人は白髪で狐耳と尻尾が生えている。もう一人も狐耳と尻尾が生えているが黒髪である。もちろん、服は着ている。二人ともオレが推している狐のバーチャルアイドルに凄く似ている。
二人は目をゆっくり開ける。
「誰?」
「お前誰だよ?」
白髪の少女から黒髪の少女の順で聞いてくる。
「俺は伊南川弘樹。お前らを作った者だ」
黒髪の少女は驚愕する。その反応が普通だよな。
白髪の少女は冷静でいる。一応、一卵性双生児として作ったのだが、二卵性双生児のようになったようだ。
「はぁー!? あたしらを作った!?」
「うん、なるほど。って事は貴方は父親みたいなものだね」
「てめぇー、何納得してんだよ! 何処の馬の骨か知らねぇー奴なんか親父と認めるか!」
黒髪の少女は白髪の少女の胸ぐらを左手で掴む。
「落ち着いて。私たちを作れる程の魔法が使える者だよ?」
「それがどうしたんだよ」
「つまり、神と同じぐらいの力を持ってもおかしくないという事」
「か・み……神と同じ力!!!?」
黒髪の少女は驚愕してすぐに考え込む。考え込んでいる姿は可愛い。
白髪の少女と黒髪の少女と呼んでいるのは性にあわないので、名前を付ける事にする。
「お前らに名前を授ける。白髪の子はカイナ・イナガワ、黒髪の子はリッカ・イナガワとしよう」
「カイナ……良き名前。ありがとう。マスター」
「リッカか。悪くないな。ありがとよ、親父」
どうやら、リッカは俺を認めてくれたみたい。良かった良かった。
「リッカ、貴方はマスターを父親と認めるの?」
「まぁーな。神と同じ力を持つんだろ? そんな奴が親父ってすげぇーじゃん」
リッカは瞳を星のように輝かせる。
何その小学生男子論理? まだまだ餓鬼って事か。
可愛いから許すけどね。
そんな俺たちは森から出る事にした。そのため歩き出している。
「なぁー、親父。これからどうするんだ?」
「そうだな、まずはこの世界がどんなかを知らないとだな。この森を抜けて村か街があれば良いのだが」
この世界の法律、通貨、国、秩序など知らなくちゃならない知識がある。それらを調査する必要がある。
そこで近くに村か街を探す。だが、見渡す限り森が広がっている。
どうしたものか?
「マスター、あれ」
カイナが右手の人差し指で指す。その方を見ると、一人の女性が狼の群れに襲われていた。
俺が知っている狼の種類に容姿が違い、両肩に鋭い棘が生えている。数十頭はいるだろうか。
「助けねぇーと!」
リッカとカイナが一目散にその女性の所へ向かう。
お前らな——たく、考えなしに行くなよ。
俺も遅れて向かう。
リッカとカイナは数頭の狼を殴ったり蹴ったりして倒す。
女性も持っているレイピアを振るい狼を倒す。俺が到着する頃には狼たちは全頭倒れて気絶していた。
「やるわね。貴方たち」
「お前もな。あたしはリッカ・イナガワ。こいつはカイナ・イナガワ。よろしくな」
「私はリリー・サインサルト。こちらこそよろしくね」
リッカとリリーは握手する。
リッカが自己紹介するとか礼儀はなっている。良い事だ。俺自身何も教えてないけど、自らできるなんて、できた子なんだと思う。
リリーが俺に気付く。
「あなたは?」
「俺は伊南川弘樹。こいつらの里親みたいな者だ」
俺はリッカとカイナの頭に両手を乗せ添える。
リリーはこの世界の住人、彼女について行けばこの世界の事が何かしら分かるだろう。
「なぁー、リリー。俺たち旅をしているんだが、近くに村か街があるだろうか?」
「私の村なら近くにあるわよ」
丁度いい。彼女の村に行くとしよう。
俺たちはリリーの案内で村に向かう。数日経った頃に村へ到着した。
喉かな田舎町の光景が広がる村だ。見渡す限り、田んぼや畑がある。車は通ってなく、馬車が通っている。
田んぼにはトラクター等の機械類は見当たらず水牛や馬がいる。この世界はテクノロジーが発達しておらず中世のヨーロッパみたいだ。
俺たち四人は村の中を歩いて一軒の豪邸へ辿り着く。木造建築の大きな屋敷だ。土地は数千平方メートルぐらいはあるだろうか?
俺、リッカ、カイナは驚愕する。
「お、おい! お前って金持ちなのか!?」
リッカが大声でリリーに話しかける。俺も驚いているが驚き過ぎだろ。
カイナを見ると開いた口が塞がらない。
「何驚いているのよ? 私、こう見えて王族よ」
リリーにとって当然の事だろう。だが、俺は想像していたのと違っていたのだ。
彼女は王族というのも納得できる。だが、そんな彼女からは王族としてのオーラはこれっぽちも感じれない。
俺たちは豪邸の中へ入る。
「お姉様、ただいま」
奥から所々に赤い線がある青髪で三つ編みツインテールしている少女が現れる。
背丈はリッカやカイナより少し大きいぐらい。
「リリー、おかえりなさい。おや、そちらは誰なのですか?」
リリーが俺たちの事を少女に話す。名前と出会った経緯、この村に来た理由を。
「なるほどです。私の名前はリリアス・サインサルト。ここを統治する者です」
統治者という事は領主なのか。ん? ちょっと待てよ。リリーは王族と言ってたな……リリアスも王族なのか?
建物を見るとコンクリートで建てられている。現代の日本で見る建物のようだ。ラノベや漫画で描写される異世界ではヨーロッパ風で木造建築が主流である。
俺たちは応接間へと案内され、椅子に座る。
メイドがお茶を用意してくれて人数分机に置く。
「お二人は王族と聞いているのだが?」
「リリー……話しましたのか?」
リリアスはリリーに向けてジト目をする。リリーはドキッとして身を震わせる。
「いや、あのー……お姉様、それがね」
「話しましたか?」
リリアスはリリーに近寄って顔を近づけさせる。怒りを露わにしているのが分かる。
「……はい……」
リリアスから目を逸らしながら小声で返事する。
「あなたという人は! あれ程王族と名乗るなと言いましたよね! 私らは王族ではないんですよ!」
怒鳴り散らすリリアス。それを見たリッカとカイナが少しだけ身を震わせている。
「王族ではない? どういう事だ?」
リリアスは俺の発言に気付き、俺の方に向く。咳払いをして場の空気を整える。
「えぇ。私たちは王族ではありません。理由は言えませんが」
別に理由なんてどうでもいい。俺の目的はこの世界がどんな世界か知る事。それさえ達成できれば良いだけだ。
だが、リリアスは可愛くて俺のどストレートのタイプ。一目惚れしてしまいそう。
「所で君たちは泊まる所ありますか?」
そう言えば考えてなかった。最悪野宿しようかと思っていた。
「ないようなら家に泊まると良いですよ。娘さん二人が幼いようなので野宿は危険かと」
リリアスにはお見通しか。確かにリッカとカイナはまだ十歳ぐらい、危険すぎるか。
こうして俺、リッカ、カイナはサインサルト姉妹の家に泊まる事になった。
日が暮れた時刻。俺たち三人の部屋に案内される。部屋は大きなベッドがあるだけで、天井には豆電球がある。
不思議だ。異世界と言えば蝋燭の火が電気の代わりになるのだが、この世界では科学が発達しているのか? 魔法があり、科学がある——現代ファンタジーの世界観かのようだ。
俺はベッドの上に座る。リッカとカイナはベッドに飛び込み寝転がる。
「ふかふかだぁー!」
「うん、ふかふか」
一個のダブルベッドに三人で寝る。流石に色々と疲れた。
ど深夜に目を覚ましてしまう。右側にはリッカ、左側にはカイナが寝ている。二人とも服がはだけて、おっぱいとパンツが見えている。おっぱいは意外と少し膨らみがある。
少し興奮してしまう。いや、決してロリコンではないぞ。
俺は起き上がって二人を起こさないようにベッドから立つ。
静かに部屋から出る。なんだか寝付けない。
(喉が乾いたな。とりあえず水を飲もう)
俺が廊下を歩いていると一戸の開き戸が微かに開いていた。そこから部屋の明かりが漏れている。
俺はそっと覗くとリリアスが椅子に座って本を読んでいた。足を組んでいてその隙間から白いパンツが見えている。
(おぅ……おパンツちゃん……)
「覗きとか趣味悪いですね。弘樹さん」
何故分かった!? 魔法によるものなのか?
俺は頭を掻きながら部屋の中に入る。部屋はたくさんの本棚があり、大きさがバラバラの本が綺麗に並べられてある。何冊あるだろうか? ざっと見る限り数千万冊はありそう。
「ほんとに覗きしていたとは……勘が当たるなんて」
リリアスは小声で呟く。俺は聞き逃さなかった。
勘かよ!? 魔法じゃなかったの何でやねん。
「何しに来たんですか?」
「いや、明かりが見えたから何かなと思っただけ」
「ふむ。私は魔法学の学者なので夜遅くまで本を読んでいるのです」
勉強熱心なんだな。学者は変わっている人が多いと聞く。こいつも変人なのだろうか?
俺は近くにあった椅子に座り、リリアスと向かい合わせになる。
「リリアス、この世界について何か教えてくれないか?」
「唐突ですね。何が知りたいのですか?」
そうだな——まずはお金についてだな。お金がないと何もできないからな。
「お金について教えてくれ」
リリアスは読んでいた本を閉じて浮かす。その状態のまま本棚に戻す。
「旅の者とお聞きしたのですがそんなのを知らないとは……良いですか」
俺はリリアスから様々な事を教わった。この世界で生きていく必要な事を。
まずこの世界もお金がある。それで物々交換したり、物の価値が分かったりする。俺が元いた世界と同じ。
違うとすれば元いた世界がかつて使っていたとされる三貨制度となっている。金貨、銀貨、銅貨とあり、金貨が一番価値がある。さらに希少な物として白金貨がある。
銅貨一枚が数百円、銀貨一枚が数千円、金貨一枚が数千万円程である。白金貨は数億円の価値がある。これはあくまで俺の感覚であるため実際は日本円でどのくらいになるかは分からない。
翌朝。俺は目を覚ます。上半身を起こしてリッカとカイナを見る。二人はまだ寝ている。
俺は二人を揺すって起こす。
「ほら起きろ。朝だぞ」
「う……うーん……」
リッカとカイナは目を擦りながら起き上がる。二人の服が凄くはだけている。お前ら、どんな寝相なんだよ……悪過ぎだろ。
俺らは洗面所に向かい、歯磨きと顔洗いする。
洗面台も日本で見たような形になっている。
部屋に戻り、リッカとカイナは寝間着から着替える。俺は部屋の外で待つ。
「親父に見られても平気なんだけどなぁ」
「うん」
「平気とかそういう問題じゃねぇーだわ」
マナーとかそういう話。親子だとしても、親しき仲にも礼儀ありだ。
リッカとカイナは着替え終わり、俺は部屋に入る。
「とりあえず、親父に渡しとくわ」
リッカから何かを受け取る。何だろう? 俺はすぐ様にポケットに入れる。
「御神体にしてくれよな」
お守りか? ありがたく頂戴しよう。
「マスター、私とリッカはこれから出かけるね。帰るのは夕方になりそう」
「おぅ、そうか。気をつけてな」
そう言えばリリーと何か話していたな。魔物退治に行くらしいが心配になる。
リッカとカイナが出て行った後、俺はリッカに渡された物をポケットから取り出す。
見ると目を見開いて驚愕して顔を赤らめる。
ななななんと!? おパンツちゃんではないか!?
(リッカぁぁぁぁぁぁ!!!)
心の中で思わず叫んでしまった。声に出しかけたが抑えれて良かった。
しかし、女性用下着とはな……リッカ何渡してくれとん! まぁーありがたく受け取り大事にしとこう。御神体にはしないが家宝にしておく。
言っておくが俺はロリコンではないし変態でもない!
俺は魔法で小さな宝箱を出現させ、おパンツちゃんを中に入れようとした瞬間、二枚あったのを気付く。
何も見なかった事にするためすぐに宝箱の蓋を閉める。
後でリッカを問い詰める。宝箱に鍵をして何処かに隠す。
俺は窓開けて空気を吸う。すると、馬に馬具を付けているリリアスがいた。
「リリアス! 何しているんだ?」
「弘樹さんでしたか。先程、依頼がありましてそれをこなしに行く所です」
「俺も一緒に行ってもいいか?」
「えっ? 別に構いませんが」
俺はリリアスのいる所へ向かう。リリアスに着いて行けば俺の中で何かが起こる予感している。
それにこの世界について何か知れるかもしれない。
俺は馬に乗り、その後ろにリリアスを乗せる。
「あの、馬を扱った事あるんですか!?」
「まぁーな。馬の事なら誰よりも知っているからな。この馬の名前は?」
「グランデウスです」
「OK。グランデウス、よろしくな」
俺が馬の首辺りを摩ると馬は喜んでいるように見える。
こう見えて俺は獣医師の資格を持っている。だから動物の事は誰よりも知っているし、動物の声に耳を傾けていく内にすぐに動物から信頼される能力を身についた。
俺は馬を走らせ、リリアスが言っていた場所へ向かう。
「あの、グランデウスが信頼するなんて……」
リリアスは小声で呟く。俺は当然聞こえていない。
何だかんだで目的地に到着した。
俺とリリアスは馬から降りて、小さな家の玄関に向かう。
リリアスが開き戸をノックする。
「すみません。リリアス・サインサルトです。おまけもいますが」
「おまけって」
開き戸を開けて中から二人の男女が現れる。三、四十代ぐらいの年齢している。
「これはこれは、リリアス様。この度は依頼を受けてくださり感謝を申し上げます」
二人の男女は頭を下げる。
リリアスって偉いんだな。見た目はリッカやカイナと変わらないからそう見えない。
男女の話によると、自分らの子供が森に行ったきり、帰る時間になっても帰って来ないらしい。
心配になった二人はリリアスに依頼を出し捜索をお願いしたのだ。
リリアスは心良く受理して、早速俺とリリアスは森へ向かう。
森の入り口に馬を置いて行き森の中へ入る。
「この辺りは魔物が多くて危険と言っているのですがね」
子供も好奇心は侮れないな。危険と分かっていながらも突き進んじゃうもの。かくして俺もそうだった。
俺とリリアスは森の奥へ進む。途中、魔物が現れてリリアスが凍らしたりとしながら。
リリアスは氷属性の魔法を得意としているようだ。無論、他の属性も扱える。
俺とリリアスが森を歩いていると悲鳴が聴こえた。
二人は慌てて悲鳴が聴こえた方へ走る。向かった先に男の子が魔物に襲われてる。
魔物は熊のような姿で、両肩に刃物のみたいな棘が生えている。
「アイスドリルナイザー!」
リリアスはドリル状の氷を複数生成して放つ。熊の魔物はそれを両手の鉤爪で弾く。
リリアスは腰を抜かしている男の子に近寄る。しゃがんで男の子の肩に右腕を回す。
「大丈夫ですか?」
「う……うん。お姉ちゃん!?」
熊の魔物がリリアスと男の子に襲いかかろうとしていた。
リリアスは左手を地につけて前に氷の壁を出現させる。
しかし、氷の壁は呆気なく壊されてしまう。
「そ、そんな!?」
リリアスと男の子に襲いかかる熊の魔物。二人は恐怖のあまり動けずにいる。
そんな魔物に俺は飛び出して右拳に炎を、左拳に雷撃を纏う。
「爆拳!」
右拳を振るい、熊の魔物を飛ばす。再度、熊の魔物に飛び出して左拳を振るう。左拳が直撃した瞬間に雷撃が放たれて熊の魔物を気絶させる。
そんな俺を見たリリアスは驚いている。まるで運命の人に出会ったような驚きだ。
俺はリリアスと男の子に近寄る。リリアスと男の子は立ち上がる。
「油断するなよな」
「すみません。助けて頂きありがとうございます。弘樹さん」
リリアスは照れているように見えた。
俺とリリアスは男の子を先程の家に送り届ける。お礼をたくさん言われ、男の子と両親と別れて帰宅途中の道で馬を歩かせている。
「あの、弘樹さんはお強いんですね」
「まぁーな。どうよら俺は全属性を扱えてあらゆる魔法が使えるようだ」
「えっ!? えぇぇぇぇぇぇ!!!?」
リリアスは大声で叫んでしまった。そんなに驚く事なのか?
あらゆる魔法が使えるのはありえないが全属性を扱えるのは普通じゃないか?
「全属性!? 普通は一人につき一属性で、訓練すれば二~三属性を扱えるのがやっとなのですよ!」
「そうなのか?」
「そうですよ! そもそも四大属性と呼ばれている炎、水、風、土は習得に何年もかかるんですよ」
俺はあっさりと扱えるようになっているなんて、駄女神のお陰だろう。そこだけは感謝している。そこだけだが!
そんな話をしている間に屋敷へ到着した。
馬を馬小屋に入れさせ、屋敷の中へ入る。リッカとカイナが急に抱きつく。
「大丈夫だったか!? 親父」
「マスターがいなくて心配だった」
俺は二人の頭に両手を置いて撫でる。
「大丈夫だったぜ。俺も魔物退治して来たんだ」
「ほんとか!? 親父が魔物を倒す所見たかったなぁー」
「私もマスターが一瞬で倒す所見たかった」
「それよりリッカ! ちょっと来い」
俺はリッカの尻尾を右手で握りしめて引っ張る。
「いててて! 痛いって! 親父! 尻尾引っ張らないでよ! 痛い痛い痛い!!!」
リッカは泣き叫ぶ。相当痛いだろうな。
俺はリッカを引っ張り、自分たちが泊まっている部屋へ向かう。
部屋に入り、リッカを少し投げて正座をさせる。
「何だよー、尻尾を引っ張るともの凄く痛いんだよ」
「リッカ、これはどういう事だ?」
俺は宝箱を開けて女性用下着をリッカに見せる。
「あぁー、これね。親父が喜ぶかなぁーって思って、あたしとカイナのをあげた。まぁー、カイナのは盗んだけど」
嬉しいけどこんなの渡されても困る。リリアスとリリーのおパンツちゃんではないのは幸いか……こういう事は倫理的にいけないので辞めさせるべきだ。
「こういう事は二度としないと約束できるならもらっておく」
「嬉しそうで良かった良かった」
俺は右拳をリッカの頭に振るう。リッカの頭からたん瘤ができる。
「いてぇー。殴る事ないじゃん!」
「二度としないよな!」
「……はい……」
宝箱を閉めて鍵をする。それを消して何処かの空間に送る。この場合の空間はいわゆるアイテムボックスだ。無限に収められるから便利だな。
その日の夜、俺はリッカとカイナを寝かせて、リリアスに呼ばれたため、リリアスの部屋に向かう。
リリアスの部屋に入ると、リリアスがベッドの上に座っていた。
俺はリリアスに近寄る。
「こんな時間にすみません。隣に座ってくれませんか? 大事なお話があります」
「おぅーよ」
俺はリリアスの隣に座る。少し距離を離れて。
「大事な話って?」
「実は……私たち、王族なのですが王位継承権を剥奪されまして」
さりげなくすげぇー事を言っちゃってるよ、この子。王位継承権を剥奪って何があったのか?
「あの男からこの地に逃げ込みました。その男は王様、お妃様を殺し、国を乗っ取りました」
駄女神が言っていた。魔王が誕生すると……この出来事はその前触れだろうか?
「そこでお願いがあります。私たちと一緒に国を取り戻して欲しいです」
なるほどな。王族なのに、王女様が何でこんな田舎にいるのか疑問だったがようやく理解できた。
王国奪還か……俺がなりたいと思っていた何者かになれるチャンス。
「俺にできる事があるなら協力しよう。俺だけじゃなく、リッカもカイナも協力するはずだ」
「ほんとですか!?」
リリアスは慌てて立ち上がり、俺の前に立つ。両手を手に取り握りしめる。
涙が両目から流れ出す。
「ありがとうございます! 本当にありがとう……ございます……」
泣きじゃくるリリアス。それを見た俺は彼女を笑顔にする為にこの世界へ来たんだと思った。
誰かを元気にしたり、笑顔にする人間になりたいとずっと思っていたからこそ、今目の前の人を笑顔にできなくてどうするんだよ。
だから自ずと答えは出ていた。
リリアスは落ち着きを取り戻す。
「すみません。さっきのは忘れてください。ですが、リッカちゃんとカイナちゃんのパンツをもらうのは流石に引きますよ?」
リリアスはクスッと笑う。
バレとるやないかぁーい!
俺はリリアスの部屋を後にする。自身の部屋に戻り、寝るのであった。
俺の左隣でリッカとカイナがこそこそと自慰行為していて寝れなかった。二人とも! 恥を知れ!
読んで頂きありがとうございます!
次回もお楽しみにしてください!




