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俺にとっても
その女装デートは
非現実を楽しんでいたんだ。
嫌な現実から
逃れられる時だった。
それは
明宏にとっても
同じであったはずだ。
というか
明宏の方が非現実感は
俺よりも大きかったからだ。
なにしろ
現実の自分と
全くの別人になれるからだ。
その別人こそが
明宏にとっては
望んでいる姿だったんだ。
俺と共に毎日
見習い組員として
過酷な部屋住み生活を
強いられている姿。
明宏にとっては
その姿は現実といえど
世を忍ぶ仮の姿だったんだ。
非現実の世界での
女装姿が現実であると
明宏は思っていたのかもしれない。
となれば
ずっと女装で過ごす
今の逃亡生活というのは
明宏にとっては
やっと手にできた
現実といえるわけだ。
なので
今の明宏は
捕まる不安はあれど
まさに至福の時であろう。




