プロローグ
ネタを思いついたので書かせていただきます。
温かい目で見守っていただけると幸いです。
そこは、王都マボナスの城内でのこと。
宰相マックスは今日も窓から城下町を眺めながら、紅茶を一口。
「うむ。やはりこの眺めとともに味わう紅茶は最高だ。愚民どもが香りを引き立たせているに違いないな」
そういって、いやらしく口角を引き上げる。普段はあと数時間はこの快感に身を委ねるのだが、今日は違った。
「……騒がしいな」
扉の外から慌ただしい音が聞こえる。
何事かと扉を見つめていると……ドン! と無造作に扉が開かれる。
マックスは驚いて紅茶を服にこぼし、その熱に悶える。
「マックス様! マックス様!」
重そうな鎧をガチャガチャ言わせて部屋に入ってきたのは、近衛兵の一人。
「あっつッ!! ノックぐらいしろ!!!」
「でもどうせ紅茶飲んでたんでしょ。暇でしょ」
「お前……私、宰相ぞ? 忠誠心はいずこへ?」
「そんなことどうでもよくて、大変です、マックス様!」
「……なんだ、報告しろ」
「イチゲキが……『必殺』のイチゲキがっ! 地下牢から脱獄しました!!」
「──まじか」
こんどは紅茶が手から滑り落ち、ズボンに全部ぶちまけたが熱さは感じなかった。