白い鷺の孤独
キーンコーンカーンコーン
6限目の終わるチャイムの音とガヤガヤと騒がしくなる教室
僕は白鷺黎翔
年齢は17才で身長は167cm、細身のただの男子高校生
ほらまだ大丈夫
まだちゃんと僕でいられる
「黎翔〜!」
「なぁに〜。」
「女子からお呼び出しだぞ〜!」
はぁいと返事をして呼び出されてあげる
「あっあの!イムスタ交換してください!」
自慢じゃないけど顔は良い方らしい
「良いよ〜ん。ほいこれどーぞ。」
女の子たちはきゃー!!と声を上げてペコペコお辞儀しながらバタバタ去っていく
きもちわるい
「おーいお前は相変わらず女子にもてるのな!」
羨ましいなんて言って肩を組んでくるけど僕には正直何が良いのかわからない
ハハハなんて苦笑いしながらとりあえずその場をやり過ごす
きもちわるい
ガハハなんてつばを飛ばしながら豪快に笑って僕を揺さぶる
普通に迷惑だな〜なんて
口には出さないけどね
わからないな
何だかここにいるといつも自分が違う星の人間になった気がしてだめになりそうになる
僕には何もわからない
顔だけを見て好きだとかタイプだとかそれ見て羨ましがってるコイツラとか
なんでこんなにきもちわるいって思うのかとか
わからない
「てかさ!これからカラオケいかね!」
俺お前の歌聴きたい!だなんていうクラスメイトの腕の中からなんとか抜け出す
「ぅ〜ん。お誘いは嬉しいけどまた今度にしとくね〜。」
困ったような申し訳無さそうな顔を貼り付けておく
そしたら
ほら
えぇ〜って言うけどもう無理に誘ってこれない
あ~あやっぱわかんない
早くお家に帰ろう
「じゃあね〜。」
なんてひらひら手を降ったら
おーまた明日〜なんて元気なお返事がいっぱい飛んでくる
きもちわるい
きもちわるさも消えないしわからないけど何だか吐きそうだった
カチャッと音を立てて玄関の鍵を開け中に入る
「ただいま〜」
なんて両親は共働きで兄弟もいないんだからどうせ誰もいやしないのにね
「うぅ〜さむ…」
なーんて言いながら帰ってきたら手を洗う
最近はインフルエンザとか流行ってるもんね〜
うがいも忘れずにっと
うん、ぼくえらーい
「…。」
鏡の中の僕と目が合う
相変わらず僕は好きになれないや
ほんと何が良いんだろう
ずーんって気持ちが沈んでくのがわかる
あーあだめだな
寒いといつもの僕でいられない
いい子でいなきゃいけないのに
僕はこの季節があんまり好きじゃない
だって寒いし手を洗うと指先がキーンって冷たくなって凍っちゃいそうになるし
それに…
思い出して期待しちゃうから
手を拭いてから沈んじゃった気持ちを誤魔化すように首をブンブンと振ってパンッとほっぺを軽く叩く
それから階段を登って自分の部屋のベットにダイブ
ボフンッてベットが埃をたてるけど気にしない
スマホを開く
今は放課後の午後6時14分日付は…
2月23日…
やっぱだめだってベットからゆっくり起き上がって机の前で止まる
倒してある少し色褪せた写真立てを傷つけないように大事に持ち上げて見えないようにしてあった写真を見る
そこには小学生の二人の少年が写っていて
左の少年は白い少しだけ癖のある髪を後ろでちょこんと結んでいてはじけるような笑顔で笑っていて
右の少年は左の少年とは対象的なサラサラな黒い髪を耳下あたりで切りそろえていておしとやかに微笑んでいる
ほらやっぱりだめだった
心臓あたりがキュ~って痛くなって涙なんてとっくの昔に枯れちゃってて出てこないのに
なんだかすごく苦しくて苦しくてし
あぁ寂しいなって
写真の少年たち
小学4年生の頃の僕と僕の幼馴染
東雲未咲
僕をおいて引っ越してっちゃった子
僕の世界で一番大事な子
僕の神様