遭難から転生までを回想
その日は、大学の山岳部パーティー9名で春山合宿の初日だった。
俺たち1年生3名は先行組から後れを取り出した時に風雨が強まってしまい、パーティーから離されてしまった。
風雨と疲労により体力が削られた生田陽葵がその場から動けなくなり、一時非難するしかなくなってしまった。そこで、3人は通り過ぎたばかりの避難小屋へ引き返す事に。
避難小屋に到着すると灯りがないのにも関わらずなぜか明るい。この摩訶不思議な現象に俺と国分真治は顔を見合わせる。
俺と国分は入っていいのかと一瞬躊躇したものの、生田の消耗を考えるとここで休むしか手段はないと悟り避難小屋の中に入る。
小屋の中は明るいだけではなく、とても暖かく生田の体力もみるみる回復した。
(生田)「二人ともごめん。私の体力がないばっかりに巻き込んでしもた…ってか、この小屋不思議やね。」
(東歌)「マジでこの小屋はいったいなんなんだろうな。この明るさも快適な空調もどういった仕組みなのかさっぱり理解できない。」
と呟くと無口な国分も頷く。
すっかり体力を回復した3人でこの不思議な小屋を調べてみる事にした。
明るさは電気によるものではないし、空調のダクトなども一切ない。あるのは扉とヨーロッパ風のベッドと机のみ。机の上には人間の指のような造形のガラス細工、読んだ事もない言葉で書かれた地図、気味の悪い仮面、金属製の鍵が置かれていた。
(東歌)「天候が回復したらすぐに出よう」
と言い切る前に国分が机の上の仮面を手に取ってしまった。気味の悪い仮面は国分の顔に巻き付き、剝がれなくなってしまった。
(東歌)「国分、息は出来てるのか?」
と問うと国分はOKサインを出す。<なんか楽しそうだな国分…>
俺が仮面を引き剥がすために机の上のガラス細工を握った時に"ソレ"は起こった
数秒間の浮遊感を感じた後、目覚まし時計のアラームのような音が小屋に響き渡った。
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pi♪pi♪pi♪pi♪pi♪pi♪
『◆!-*+-#$%&//:?;』
(国分)「東歌、右手の人差し指を見てみろ!その指が起動装置らしい」
<国分くん、キミは何を言ってんだい?…ん?指の関節増えてないコレ?>
『●/:;&$#=~$%&』
(国分)「その指がこの世界と現世を行き来する転送装置みたいだぞ」
<ダメだこのコ仮面がはずれなくて壊れちゃった…>
『▲_/\>>>'&%$』
(国分)「東歌自身はいつでも現世とこちらの世界を行き来できると言ってる。それは48時間の間隔で無機物は移動ができないそうだ」
<コイツナニイッテンダ…>
(生田)「ってかなんで全員ハダカなん?」
<生田まで何を言ってん…ギャー!!生田さんアナタはなぜ平然と…>
(東歌)「ま、まずは着るものを探しません?」
小屋に服はなかったがシーツを破り全員分の下着を作る
腰巻のような布切れを纏い3人は扉の外へ…