ちょっとだけ行ってきます
出来ないことを、
出来る、と思うとき、
私たちはまだ、嘘つきではない
出来るかもしれないことを
出来ない、と思うとき
私たちはすでに、嘘つきかもしれない
雨が上がって、天国に行くよ、今すぐに
電車で寝ている人を眺めながら浮かぶ
これから海にでも行こうか、山でも良いよ
何処にでも行けるよ、今すぐに
雨音に掻き消えていた
樹々の擦れる音も、細波の音も、
土のにおいも、潮のにおいも
他人は要らない、本当は独り、静かに溶け込んで、
優しい場所でなら、天国に行けたんだよ
私はまだ、嘘つきではない、けれど、
たぶんこれからは、嘘つきで在り続ける
雨上がり、どうせ靴には何かが滲みて、
私は戻されるかも、いや、自分で戻るだろうね
やっと訪れる静寂に、耳を澄ましてみたりして、
行こうと思えば、行ったっきりで、
遂には天国まで、行けるだろうにね