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第1話 出会い、狂い、そしてキス

タイトルがあらすじになっとるわ。

「くっ、オレは四天王最強、この組織はもうだめだあ。オレはここでお暇をいただかせてもらう。」




「エッ、ア、アニキ―。僕らどうすれば。」


「勝手にしろ。」


「お、おともいたします。」


「オ、オデも、行きまふ。」




組織ビル前、昼下がりの公園でオレは去っていく赤い髪の英雄の背中を見ていることしかできなかった。後ろから攻撃することもできた、だがオレにいわせりゃフェアじゃない。そういうこった。




こうしてオレは、最強ではなくなり組織はあっけなく潰され、半ば不登校だった学校に三下子分たちと通うようになった。


こいつらは小学生時代からの友だちでオレが強さに憧れたように三下に憧れ、オレと同じくらいには強いのに三下をしてる変なヤツらだ。




一つここで能力の源を紹介しよう。誰に、と聞かれれば説明はムズいが言うならば、上位存在に。


 宇宙から来たウイルスが能力の源だ。心に巣食う病魔、まあジョジョのスタンドみたいなものだ。


 


通い始めたはいいものの、新しい生活には新しいことが待っているように、新しい出会いがこのオレにも、そう春が来た。


一学期はほぼ休んでいたのだから今は夏だが、なんならもうすぐ夏休みだ。




日常生活を送る上で巨大な力は本当に使い道がない、弱い能力の方が使い勝手がいいのだ。例えば「空気をブロック状に固める能力」これならばいつでもどこでも座ることができる。


おばあちゃんにおすすめな能力だ。




だがオレは最強、日常生活においてもそこは変わらなかった。


料理するにも包丁いらずで、どこからでも切れますが切れなかった時にいちいち腹を立てる必要もない。


切ると言う行為を簡略化することがどれだけ楽で便利か。


そしてバイトはしていない、美大に行くつもりだ。こうして飯を食えている切り絵師として。




オレの能力を上位存在の皆様に説明しましょう。


一言で言えば投げ縄ツール。調整をミスればあわや大惨事のツールだ。


一つ前に戻るがないオレにとっては。


サブ的な能力として、オレが輪で囲っている相手は一時的にオレと仲良くしてくれる。少し洗脳じみた能力。そのあいだ能力が使えなくなる、だからそうそう使うことはないが。それに一瞬出して消しての方が使い勝手がいい。




ちぇ、使わないのかい、という言葉を無視して先に進みましょう。


学校に行く日の朝、三下の一人、山田からメールがあった。「転校生が来るらしいですよ(^^)」


もう一人、川村からは「来る」とだけ。まったくおもしろいやつら。


だけどめんどくさいことに山田はメールよこしすぎ、川村はメールで済むところを電話しすぎなところだ。




オレは転校生と言うひびきにウキウキしていた。パンを焼くトースターからは「チンッ」と朝を整えるような音がするし、窓を開ければクソッタレ、隣の家のにわとりがやかましい。隣には二羽のニワトリがいるのだ。


おかげで目覚ましいらず。老人じみた生活リズム、強くなれたのはこのニワトリのおかげなところもあるのだからハラばかりたててはいられない。ハラの足しにしてやろうかと考えたことは何度もあるが。




家族をみんな切り殺してしまったオレにとってはいい話相手だ。


そんなこんなでパンに玉子をぬり(もちろん能力で粉々にしたペースト玉子)


皿にのせ、ご飯をよそう。パンはお約束のためのパンだ。


味道楽のふりかけをかけ(これが結局一番うまい)テレビをつけるとオレの組織の事で持ち切りだった。


前にやっていた山口組のニュースみたいに関係が無い気がしてオレはチャンネルを2に変えた。ピタゴラスイッチ、ぼてじんの時間だ。


朝と夜、二回ピタゴラスイッチを見ている。




食べ終わると。8時5分、走らなければ遅刻だ。パンはもちろんそのためにあった。




手にはパン、それだけを持ち家を出た。すこししてパンしかもっていないことに気づいて、カバンをとりに帰り、あらかた食べ終わったパンを大事そうに咥えて、久しぶりの通学路を走る。


見覚えのある赤い髪、キリリとした眉、自信ありげにニヤリとしていた口元、そのすべてを捨て去ってオレのライバル、新しい最強は不安げに電柱の前にうなだれていた。オレは仕方が無いのでパンを完食。それから言った。




「お前、女だったのか!!」オレは言った。言ってやった。


「え、えなんですかあ、おおきい声、やめてくださいよ、今ただでさえ道に迷ってこまっているというのに。」


大きな力には大きな代償が伴うというものか、こいつの能力は、そうか日常生活全部ダメだからあんなにつよいのか。


「口にでてますよ、失礼ですね。私の能力はスーパーヒーローになる能力です。ヒーローは負けないからヒーローなんですよ。知ってましたか?負けたら、負けたで立ち上がるのもまたヒーローです。死んでも甦るからこそヒーロー。強いものが現れたらそれを超えるのがヒーローなんです。」


とめちゃくちゃな頭をした奴にオレは負けたんだ。イカレ具合が違う、ケンカではイカレてるやつが強いを地で行くやつだ。まったく。




オレはまた負けるのも嫌なのですぐに能力を使った。変身していないと本当かわいいオレのタイプな黒髪ロング、どこか猫っぽいに該当する、少女なんだがなぁ。




輪切りにしてやるつもりだった。胸、腰、足を三重に投げ縄の円で囲ったオレはスプラッターは起こさずに女を見ていた。オレの方をみて、涙ぐみ赤い顔をする女。




「どうしよう。変身できない、なにしたんですか?自分、えっと、めちゃくちゃ、死ぬほどあなたの事が好きなんですけど。えっと、結婚しましょう。わたし、どんなことされても、あなたになら殺されてもいいですよ。ほら、殺してください。早く、大好きです。すき、好き、殺して、ねえ。私、生きててもなんにもいいことないし、みんないじめるしでつらいんです。ヒーローになれない私なんていらない子です。だから。」




「オレはラブコメのヒーローがそうするようにキスをした。」


「できてないじゃないですか。あはは。」


「うるせえ、口だな。」


本当にした。オレはめんどくさいので能力を解いて、でも女はめんどくさいままだった。ヒーローにも変身できずに。


「好きです。」


「うるせえやい。ハ、恥ずかしいだろ、えっとおまえ、名前は?」


「桜木ののです」


「え、オレも。」


「マジですか?」


「マジマジ、春に咲く桜に森にいっぱい生えてる木で桜木」


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


「どうしたんだよ。」


「親戚だったら。んう゛ええ、結婚できないじゃないですかぁ、死にたくなりました、死にます。」とののは橋から飛び降りて、水を真っ赤に染めて、あろうことか死んでしまった。




オレは見えない投げ縄を橋の欄干にぶら下げて、命綱にし、バンジーの要領で飛び降りた。


すぐにののに駆け寄る。心臓に触る、人工呼吸もした。息も鼓動も無い。


ほんとにしっかり死んでいる。




一時間呆然としていた。血が流れ続けることに怖くなりながら。


二時間後まだ目を覚まさないので、川から引き揚げてやり、血だらけな服を全部脱がせ、たまたま持って来ていた洗濯洗剤で洗ってやった。


3時間たったころにやっと目を覚ました。




「あなた、名前は?」ののは言った。


「桜木いつき」


「ふふ、私と同じ苗字だ。もしかして私の恋人だったりします?」


「そうだ、結婚するんだろ。」




「え、あ、自分なんでハダカなんですか?エッチ、したんですか?ならありがとうございます。できちゃった婚、できますもんね。いつきさん。」


「ちょっとかわいいと思ってたのに、記憶喪失したおまえ。くそ残念美人過ぎる~!!性格0点、その他100点なのに~!!」


「ずーっといっしょですよ。ね、いつきさん」




こうしてオレは最狂女と付き合い、ワンチャンできちゃった婚をするかもしれなくなった。




どうする最強、桜が降るのはバージンロードが先か!卒業式が先か!!




でも内心少し、いやだいぶ嬉しかった。

もうすぐ夏ですね

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