お父様の目論見
お読み頂き有り難う御座います。
「そんな……実はカルバート殿はカーディフ卿の兄君かつ公爵家の長子で、シェリカ嬢はその娘御で公爵家に復権なさるとは」
……ロイド様に私の立場が明かされて……そうお言葉で伺うと、とんでもありませんわね。
何処ぞの紙芝居レベルですわよ。
「しかし、知りませんでした。カルバート殿がその、メリリーンのような事になっておられたとは」
「……因みに君の家のホワー伯爵家も二代前にやらかしてるからね。キチンと我がシュートック入りして保存されているし、他人事じゃないよ?
何時でも取って変われるから気をつけてくれ」
「なななな何と!?わ、我が家が!?一点の曇りが無いとは申せずとも……」
「庶民の詐欺男に君の大叔母が騙されているよ」
「ぬ、ぬわお……う」
「ははっ、痛いよシェリカ!」
頭を抱えて苦しむロイド様をせせら笑いお父様がドヤ顔で仰っておられますけど……。
お前が言うなですわよね。思わずはしたなくも肘鉄を繰り出してしまいましたわ……。
「何処におられますの?その……ホワー伯爵家に由縁の有る御方は」
「ゴミ集積所で働いてるワイさんちだよ」
「……あの力持ちのですか」
結構朗らかな一家なのですが……私もよくゴミを持って行く時お話ししましたわね。
シュートックでは、使用人の手が足りない時はお手伝いするのですわ。お駄賃も僅かながらに頂けますしね。
まあ、ジャネットお姉様……いえ、ジャネットさんはお手伝いする事はありませんでしたけれど。
今頃どうしておられるのかしら。また脱走……は無理ですわね。基本静かに動けないお姉様は、滅茶苦茶目立ちますもの……。
「そう、働き者になってくれたそうだよ。あのワイさんち」
「ワ、ワイさん……?」
……そ、そう言えばあのお家、ご苦労か白髪が多いと思っていたら……。
まさかの、ロイド様のような銀髪だったのでしょうか。いえ、それよりも。
「ワイさん……ワイさん……」
「あの、お父様。取って変わるとは」
「血を保存してるんだから、非常時には使われるのが当然だろう?物のように人を扱うのだから子孫に返ってくるのは当然……とシェリーナが教えてくれたよ」
何故ウットリとしているのでしょう。
今此処に居ないお母様が、とっても、かなり、滅茶苦茶怖いのですけれど。
お父様って婚約者様と婚約解消されるような殿方だったのでしょう?
どういう調教いえ、接し方をされたのかしら。
「……」
あ、忘れてました。ロイド様のお顔のお色が悪かったんですわ。
「ロイド様、このような身内話をお聞き頂き……誠に恐縮ですわ」
「いや、我が家もご迷惑をお掛けしていると初めて伺った。このようなスキャンダルを知らないなんて……本当に申し訳ない事だ!」
「多少暑苦しさが鼻に付くが、まあまあ素直だね。これで信じないならちょっと教育的指導だったね」
「……シェリカ嬢、君は厳しく育てられたのだな……。カルバート殿は、その、少し……視線が御強いですね。流石公爵家の方……」
「お父様、その目を止めてください」
「君のホワー伯爵家はズガタカ家の分家筋で、その線でメリリーン元令嬢と婚約したんだったね」
「は、はい」
「未練は?」
お、お気の毒な質問を!……ロイド様の顔に力が入って、ぐぐっと眉間に皺が寄っていますわ……。
「その、メリリーンは……」
「未練は有りそうだね」
「無い、とは……。ですが、突然の事で……」
「お父様、ロイド様は傷付いておいでなのに私を心配して来てくださいましたのよ。そんな言い方は御座いませんでしょ!」
「えー……?」
「えーではありませんわ!」
「シェ、シェリカ殿」
「ロイド様、本当に父が無神経に申し訳御座いません。こんなんだからやらかすんですわ!キツく叱っておきますので!」
「い、いや……」
お父様も離れて暮らしておりますけど、かなりの曲者なんですのよね!お母様よりキャラが控えめとは言え、忘れておりましたわ!
そして、この話は他言無用……とお父様が脅されてロイド様が肩を落としてお帰りになられました。
これで御縁も途切れたかと思ったのです。
それにしても何時になったら領地へ帰れるんでしょうかしら。公爵家に何時までもご厄介になっているのも心苦しいですわ。
「シェリカ嬢、予てよりの縁談が来てるよ」
「……え、ええ?
お、お姉様でなく!?ですの!?」
ややこしい方々が一定期間で湧いてたようです。




