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汚れた人形は返品するに限ります


「ははははっ!!! 実に愉快な事になっているね、アナスタシア」


目の前で爆笑されている父の首を絞めたいと思うのは罪でしょうか?

こちらは真面目な話をしているというのに。


「笑い事ではありません」


「うん、すまないね」


全然すまなさそうなお顔ではありませんよ?

未だに笑いが止まらないのか、父はぐふぐふと口を手で押さえながら笑いを堪えております。

一体どこに笑う要素があったのか。


「アナスタシアはそれでいいのかい?」


急に真剣な顔になったお父様。

一瞬で侯爵家当主の顔になるところは流石としか言いようがありません。


「はい。ここまでコケにされては婚姻する意味がありません」


「そうだね」


「綺麗な人形は好きですが、他人の手垢で汚れている人形には触りたくもありませんわ」


「やれやれ、本当に困ったお人形さんだね」


「そのお人形さんを選んだのはお父様ですよ。しっかりと売り手に文句を言っておいてくださいね」


「勿論だよ。こんな不良品を私に寄こしたんだからね。損害賠償はたっぷりと払ってもらうよ」


頼もしいお言葉です。

この様子なら陛下だけでなく側妃様にも何か訴えそうですわ。


お父様は何か愉快な事を企んでいらっしゃるようですしね。

私は大人しく屋敷に閉じこもっていた方が無難でしょう。


でもまさか親子二代に渡っての恋愛騒動になるとは……誰も予想しなかったでしょうに。



貴族専用の学園に平民が入る事は少ない事…いいえ、十数年前まではそうではありませんでした。裕福な家の出や商人の子供たちが大勢いたのです。

そのなかには頭脳明晰な人のために授業料免除などの特別枠もあり、少数ではありましたが一般庶民の人が将来の展望のために特別学生になっていたと聞きます。

もっとも、今では廃れておりますが……


昔あった騒動のせいで、学園に通う平民はいなくなりました。

まぁ、無理もありません。

それだけの大事件でしたからね。

その時に学園に通っていた人達はお父様世代の者達ばかり。

嘗て学園に通っていた平民出身者も今では人の親。我が子をこの学園に入れるような恐ろしいマネは誰もしませんでしたわ。

実に賢い判断です。

当事者ではないとはいえ、あの騒動に大なり小なり害を被ったのですから警戒するのは当然です。


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