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10/11

その後の彼ら


ギルバート殿下の死後、学園は暫く騒ぎの渦中にありました。


多くの男子学生が再教育のため実家に戻ったのです。学園はその異常事態に対応しきれず、三ヶ月の休校処置をとるしかありませんでした。


ローズ嬢は殿下の死後も、多くの男子を取り巻きにしていたため、物理的な引き離しを各家が行ったのです。

気持ちは分かります。

学園では到底処理しきれませんし、これが他国のハニートラップだったなら目も当てられない現状なのですから。

その前に、まだ引っかかる馬鹿がいた事も驚きですが…美人の甘い誘惑には抗えないといった処なのでしょう。


そのせいか、再教育なしで処罰された学生は多かったと聞きます。

特に重い処罰を与えられたのは、やはりと言いますか、チャールズ・ゴートンとアーサー・モリスでした。


チャールズ・ゴートンは、父親の宰相に酷く叱責された後、後継から外され、卒業を待たずに領地経営が破綻寸前の子爵家の婿養子として家を出されました。優れた文官を数多輩出してきた宰相一族は、超がつくほどの実力主義だと聞きます。頭だけはいい息子を、領地の経営向上のために婿に出したのでしょう。

それは温情ではありません。

愚か者への罰です。

その婿養子先は、いつ領民から暴動を起こされてもおかしくない場所。最悪、彼の命も危うい場所であったのです。二度と王都へは戻ってこられないでしょう。遺体が領主城に吊るされない事を祈っておきますわ。


アーサー・モリスは、婚約者の侯爵令嬢に対して一方的な婚約破棄を宣言しておりました。何故、両家の話し合いで事を収めないのか不思議です。跡取りでない彼に婚約破棄を言える資格など有りませんのに。自分が婿養子にいく自覚が欠けております。

お陰で、婿入りと共に莫大な支度金を受け取るはずだった公爵家は、逆に賠償金と慰謝料によって資産の三分の一を失ったそうです。アホな息子を持つと大変ですわね。

その事に怒り狂った父親の公爵家当主が、アーサーを除籍処分にし放逐したのです。貴族が無一文で放り出されて無事でいられるはずがありません。最悪、身ぐるみはがされて遺体になっている姿が目に浮かびます。


そして、今回の騒動の元凶はというと…彼女は学園を自主退学しました。

これほどの騒ぎを起こし、後ろ盾であった殿下や高位貴族の子息を失った彼女は学園に居づらくなり自ら退学を申し出た、というのが表向きの理由です。

実際は、学園側の退学宣告に他なりませんでした。

しかし、流石に貴族を敵にまわした一般人をそのまま放逐すれば学園側が非難されるのは目に見えています。そのため苦肉の策でローズ嬢自らの退陣を演出なさったのです。中々の良い考えです。大勢の貴族を敵にまわした女の末路など知れたものです。学園としてはそんな女のとばっちりを避けたのでしょう。


学園側の判断が正しかった事が証明されたのは、その数年後の事。


王都の郊外で花嫁が暴漢に襲われて亡くなった事が話題になりました。

のどかな田舎町で起こった惨劇事件。


その日、小さな教会で一組のカップルが友人知人に囲まれて結婚式を行っていた時に起こった惨事だったのです。花嫁に向かって一心に突き付けられた刃、倒れる花嫁、悲痛な叫び声をあげる花婿、異常な事態に唖然とする参列者、取り押さえられる犯人。純白の花嫁衣装が血で赤く染まっていくのを犯人は笑いながら「お前のせいでこうなった!!!」と叫んだそうです。花嫁が事切れると、犯人も自ら命を絶ってしまったそうです。


犯人は見るからにボロボロの姿で、完全に浮浪者のような格好だったため、最初は薬物依存の者が前後不覚になって襲ったという判断をされたそうですが、地元警察が犯人の言葉に不信感を覚え、再調査をわざわざして、その背後関係を調べ上げたそうです。


優秀な方がいたものですね。


そこから、数年前に起こった学園での出来事にたどり着いたという事です。

亡くなった花嫁はローズ嬢でした。

そして彼女を殺したのが放逐された公爵家のアーサー・モリスだった事から、一時期、社交界での話題はそれ一色でした。


学園を、ひいては王国を揺るがした騒動の女の壮絶な死は、貴族社会で面白半分に噂されたのは言うまでもありません。



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