表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

ご覧頂き誠にありがとうございます✨


初投稿となります、よろしくお願いします!

 とある日曜の昼下がり。


 私たち家族はいつものようにまったりと過ごしていた。

 母は昼食の洗い物、父はソファーでゲーム、私はそれを眺めていた。


 大きく開けた窓からは心地良い風が吹き、白いレースのカーテンを優しく揺らす。子供達の楽しそうな声や、飛行機の音。


 平凡でありふれた日常だが、私にとっては幸せそのもの。

 外に行くのも良いが、日曜はやはりこうして家族と過ごすのが1番だ。


「……あら?パパ、もうその武器手に入れたの?」


 洗い物を済ませた母が、テレビ画面を覗き込んだ。


「パパは土日しかゲームが出来ないからねっ!

ママに追いつく為に昨日は徹夜でお金貯めてたんだ!」


「ええー、ダメよ徹夜なんて、体に悪いわよー」


 あぐらをかいて少年の様な笑顔で答える父。

 はぁ、とため息をつきながらもそれを楽しそうに見守る母。


 私の家族は仲が良い、共通点はゲーム好き。

 今は新しく発売されたシリーズもののRPGを各々勧めおり、話題も絶えない。幼いところもあるが、子供心が分かる両親が私は大好きだ。


「大丈夫!大丈夫!ママの美味しい回復魔法料理を食べたから、HP満タンなのさー!」


「んもう、ムチャしないでよ!私の勇者様♡」


 ガッツポーズを決める父、その胸に飛び付く母。

 ――まぁ、本当に幼いと言うか、中二病的なところも……ある。


 2人は娘の目も気にする事もなく、お姫様抱っこをしながらクルクルと回り始めた。


 それも全力で笑いながら。


 ああ、今日も平和だなぁ……。



 ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎



「――ねぇ、パパが勇者でママが僧侶なら、レイカちゃんの職業は何がいいかしら?」


 不意に母が呟く。


「そりゃあ、レイカは……!」


 ――ピカッ!!


 父が自信満々で答えようとしたその時!

 窓の外から白く強い光が差し込んだ!!


「きゃっ!」


「な、なんだっ!?」


 あまりの光の強さに目を開ける事が出来ず、私はその場で顔を覆った。


「レイカっ!ママっ!」


 父の叫ぶ方へ手を伸ばそうとした瞬間……!私の意識は遠のき、ゆっくりとその場に倒れ込んだ。


 父の声がエコーのように頭に鳴り響いていた…



 ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎



「……ィカ……レイカ、起きろレイカ!

大変だ!クソォ、なんてこった!レイカ!レイカァァァァ!!」


 父の声が聞こえ、私は意識を取り戻す。なにやら必死に叫んでいるようだが、うまく目が開けられない。……もしかして、私の体に何か良くない事が起こっているのだろうか?そんな不安を感じながら何とか少しずつ目蓋を上げてゆく。


「……は!レイカ!?レイカ良かった!意識が戻ったんだな!」


 涙ぐみ私を抱える()()


 私はゆっくりと自分の体を確認した。……良かった、怪我は無いようだ。



 ……ん?


 ちょっと待てよ。


 少年?


 目の前に居たのは、赤色ツンツン髪の男の子だった!父の声がしたはずだけど……、私は少年に尋ねる。


「あの……あなた、誰……ですか?」


「レイカ……くっ……ママが……ママが大変なんだ!クソ、こんなはずじゃなかったのに!なんでママがっ!!」


 私の質問も届かず。少年は必死な形相で叫ぶ。


「え!?ママに、ママに何かあったの!?」


 思わず起き上がり、少年に詰め寄る。少年は涙を堪えながら私に訴える。


「ママが……ママが……!」


 私はゴクリと唾を飲み込む。


「ママが!!!!


勇者になりたいって言うんだァァァァアア!!」




…………は?




「勇者はパパなのにぃ!さっきだって私の勇者様♡

とか言ってたのにぃ!なんでなんでなんでぇぇぇ!?」


 少年は頭を抱えながら叫び続けている!なんでって、聞きたいのはこっち!一体どういう事なのだろう!?


「だぁってぇ!ママだってRPGの主人公ならそりゃ勇者がやりたいものー!バッタバッタと魔物を狩りたいものぉー!」


 ――母だ!良かった無事だったんだ!

 後ろから駆け寄ってくる母の方へ目をやると……


 ……知らないピンク髪の少女が立っていた。


「ねぇ、レイカちゃんだって勇者がいいわよねぇ?

いいじゃない、みんな勇者だってぇ!」


 少女が平然と私に話しかける。


「ダメだ!ダメだ!勇者は世界に1人なんだ!そして、勇者はパパ!いじめられっ子だったパパはある日突然村を襲ってきた魔物を倒す為に伝説の剣を抜いて戦うんだ!」


「いやよぉー!ママだって身寄りもなく取り柄もない私を馬鹿にしてきた村人達を見返してやりたいのよぉー!」


 2人は私を置き去りに喧嘩を始めた。


「ちょ、ちょっと待ってください!

あなた達は誰ですか?…それと、ここって一体?」


 私の言葉に、2人はキョトンとしている。


「あら?パパまだレイカちゃんに話して無かったの?」


「ん?ああ、忘れてた。

レイカ、聞いて喜べ!俺達はゲームの世界に来たんだ!

俺達の大好きなRPGの世界に!」


 少年は仁王立ちで叫んだ。


 ……え?

 ゲームの……世界?何言ってるんだ子。


「ふふふ、ほら、アバターも操作出来るみたいで、

こうやってプロパティを出して……」


 少女が私の手を取り、胸の前でなぞる様に空を切ると、

空中に画面が浮かびあった。


「うわっ!何これ!?……え?これ……私……?」


 画面には私の全身姿が映されていた。


「これで自分の実際の見た目を好きに出来るのよ♡

ほら、髪の毛の色を変えたり!」


 ――パッ!!


「え!?やだ!」


 少女が画面を押した瞬間、私の髪の毛が金色に変わった!


「身長だって思いのまま!ほらほら、高くしたり〜低くしたり〜♡」


「いや〜!!やめてぇぇ〜!!」


 私の体はニョキニョキと伸びてはスッと縮むを繰り返した!


「きゃ〜♡小さい頃のレイカちゃんに戻ったみたい♡

身長は1番低いに設定しましょうよ〜!」


「いやいや!背の高いレイカも素敵だったぞ!

1番高いに設定しよー!将来はバレーの選手かなー?ははははー!」


 私の事など気にせず、2人は勝手にアバターとやらをいじくり回して遊んでいる……。

 体の大きさや髪の毛がコロコロと変化していく……!!

 うう、気持ち悪い!!


 ……おい、クソ親父!

 胸を大きくしてニヤけるな!変態めぇぇぇ!!



 ……親父、か。


 薄々と……いや、ハッキリ分かっていたけど、認めたく無かった……。



 この2人は、父と!母だ!



 どうやら……。


 本当にゲームの世界に来てしまったようだ……。


 休日の静けさはここには無い。

 私の平凡で幸せな日常は、リセットボタンを押されてしまったのだ……。


次回!まだまだ冒険は始まらない!?


ゲームを始めたら最初にする事は?名前決め!


『主人公の名前はひろし派?紅炎のフレイムナイト ファイヤーフェニックス派?』


お楽しみにっ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「ダメだ!ダメだ!勇者は世界に1人なんだ!そして、勇者はパパ!いじめられっ子だったパパはある日突然村を襲ってきた魔物を倒す為に伝説の剣を抜いて戦うんだ!」 「いやよぉー!ママだって身寄りも…
2020/11/22 07:49 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ