発砲命令
掲載日:2020/08/29
「遠慮はいらない」
「撃て」
隊長の声が耳にこびりつく
悪魔の呪詛だ
この言葉一つで
俺は躊躇するようになってしまった
今まではヘイキだった
今ではヘイキじゃなくなっている
硝煙の匂いが胃を壊す
爆発音が脳を壊す
遠慮なんて無かった
遠慮なんて存在していなかった
隊長は遠慮という選択肢を切り捨てろと言った
隊長は遠慮という選択肢が存在したことを示した
遠慮出来た
遠慮という選択肢を選べた
今も尚
選ぶことが出来る選択肢
遠慮は無かった
遠慮はいらないわけではなかった
遠慮は無かったのだ




