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revivalの現実・サバイバル編  作者: 鹿藤伸仁
9/19

No.9

No9


3人はユゼのいる家に向かっていた。


本に書かれている内容が正しいのであれば、病は治っているはずだが昨日の時点ではまだ目を覚ましていない。


マリアンヌが能力を使われた人を見てみたいと言い出したのだ。


ティアもそれには賛成で、目を覚ましてくれるまで安心は出来ない。


シンについても、マリアンヌの言ったことに反対できない。

自身の出来ることは詳しく把握しておきたいものだ。


家に着くとユゼはベットに座っていた。


「ユゼ!体はもう大丈夫なの?」


ティアが嬉しそうに聞いている。


「元気だ。この通り。」


そういって彼は黒い斑点があった腕をティアに見せる。


「本当によかった。」


黒い斑点がなくなり、意識も取り戻した。

能力は無事成功したようだった。


「ところで、どうやって俺は1日で病気がなおったんだ?それとそこの二人は?」


ユゼは若干警戒しながらティアに聞く。


「このお二人のおかげで、ユゼは助かったのよ?男性の方はシンさん、女性の方はマリアンヌさん。」


「そうだったのか。本当にありがとう。だが、どうやって俺を助けたんだ?正直言って、もう助からないと思っていたんだが...」


ユゼが聞くとシンが教える。


「お前の病気を俺が喰ったんだよ。」


間違えてはいない。事実を言っただけだったが、ユゼはシンに対して若干バカにした表情をしてしまった。


なんだこいつ。


シンが不快になっているとマリアンヌが割ってはいる。


「この男の能力であなたの病気を喰ったのよ。」


「っ!そうでしたか。失礼しました。」


ティアも一緒に頭を下げる。


今度はティアがこれまであったことをユゼに説明する。

先程のような不快にさせる展開にならないようになるべく細かく教えることにする。


「影のなかにはいれる!?ほんとうか!?」


ユゼは自身が助かった能力よりもそちらの方に興味を示した。


「シンさん!先程は失礼しました。そしてどうか、私の父を助けてもらえないでしょうか!?」


「ん?お前の父親も病気なのか?」


シンが聞くとユゼは悔しそうに言う。


「いえ、王都に捕まっているのですが、助けるために協力してもらえないでしょうか?」


ユゼは期待していた。

これで父を助けられるかもしれない!

そしたらきっと風の国をこんな風にした元凶に復讐できるかもしれない!!


しかし返ってきた言葉は、自身の期待とは全く別のものだった。


「知らねぇよ。能力聞いただろ?こんな能力でどうやって捕まってる奴を助けるんだ?俺は弱い。そのマリアンヌが持っている本がすげぇだけだ。それになんでこれ以上俺がお前を助けなくちゃいけないんだ?」


ユゼは困惑する。


「しかし!!俺の病気を治してくれたではないか!?」


はぁ、と溜め息をついてシンは言う。


「お前の病気を喰ったのは、強引に引っ張られたってのもあるがティアの覚悟と決断があったからだ。」


ユゼは怒りで顔が赤くなる。


「俺がなにもしていなかったとでも言うのか!?病気になる前は毎日毎日強くなるために必死だった!それでも父を助けられない!」


対照的にシンはいたって冷静に答える。


「ティアは命を懸けて12人の兵士を殺してまでお前を助けようとしたぞ?」


ユゼはなにも言えなかった。まさかティアが...

シンは続ける。


「好き好んでこの世界にきたわけじゃねぇんだよ。いきなり呼ばれて、なんで人助けしなきゃいけねぇんだよ。」


言い終わるとマリアンヌが静かにシンに話しかける。


「もといた世界では、生まれたくて生まれたの?誰かに望まれて生まれたのではなくて?今と形が少し違うだけで本質は同じじゃないかしら?」


シンが黙る。なぜかわからないがマリアンヌには反抗できない。


マリアンヌが持っている本の一文に目をやったあとシンに言った。


「あなたは私のために生き、私の力になりなさい。その為に、一度ユゼ君の力になりなさい。私があなたを強くするわ。」


シンはその言葉を聞いて妙に納得した気持ちになった。


「そうだな。ユゼを助けてやるか。」


ユゼとティアは驚いている。

先程までと別人なのかと思うほどに言っていることがマリアンヌの言葉で変わってしまった。


ティアがマリアンヌの方を見るとマリアンヌは本を見ながらなにか言っているようだった。


「制御については成功ね。」


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