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revivalの現実・サバイバル編  作者: 鹿藤伸仁
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No.8

No8


魔術師の家は最下層のはずれにひっそりと建っていた。


シンが家のドアをノックする。


「はーぃ」


ティアが前にきたときと同じ気だるげな声がした。

シンを先頭に家の中にはいる。


家の中は昼前だというのに真っ暗だった。

蝋燭を持って女性が近づいてくる。


こんな蒸し暑いのに、窓閉めきってる

しローブみたいなの羽織ってるし暑くねぇのか?


シンは暗闇のなか不思議に思いながら近寄ってくる女性の顔を見た。


「うわ。マジでタイプ。」


思わず呟いてしまった。

顔を赤らめて、鼻の下をのばしながらシンは魔術師の女性に尋ねる。


「あの、お名前を教えてもらえないでしょうか?」


明らかに自分の時と態度が違うシンにティアは少しイラっとするが助けてもらった恩人なので我慢する。


「人の名前を聞く前に言うことはないの?」


随分高圧的な態度だ。これまた自分の時と態度が違う魔術師にティアは驚く。


「あっ!そうですね。私はシンと言います。」


高圧的な態度を取られたシンは全く怯むことがない。

そんなことを気にする性格ではなかった。


しかし魔術師の方も高圧的な態度を変えない。

嫌っているようにさえ見える。


「マリアンヌ」


一言、それだけ言うとマリアンヌはティアの方に顔を向ける。


「渡した本使った結果がこれ?」


これ?なんて言うマリアンヌはやはりシンの方を向かない。


「はい。マリアンヌさんのおかげで助かりました!本当にありがとうございます!」


「そう。ならよかったわ。ここにはお礼を言いにきたのかしら?」


マリアンヌが聞くとシンは無理矢理視界にはいるように話す。


「いやぁ、それがですね?ティアに呼ばれてこの世界に来たんですけど、この本と俺の能力についてよくわからなくって。マリアンヌさんならわかるっていうから会いに来たんですよ。」


シンが必死にマリアンヌの目を見て話そうとするがマリアンヌは決して目を見ようとしない。というかシンを視界にいれたがらない。


「そう。本を貸しなさい。」


マリアンヌはティアに言う。


「はい。文字が浮き出てきたのですが、なんて書いてあるかさっぱりで。」


本を渡しながら申し訳なさそうにティアは言った。


「想定外のことが多いわね。でも試作品にしてはうまくいったようね」


声が小さすぎて聞こえない。

シンはマリアンヌの近くに寄ろうとするがすぐに距離をおかれる。


「なんて書いてあるんですか?」


シンは諦めない。

根っからの女好きであるシンは拒否されるほど燃えるタイプだ。

だがマリアンヌも態度を崩さない。

シンの顔はどちらかと言うと親しみやすい部類にはいるが、そうゆうのとは関係がないように見える。

もっと別のところに理由がある。

そんな嫌悪があった。


相変わらずマリアンヌはティアに話す。


「ここに書いてあるのはそこの男の能力についてね。

1 病喰い。男4人の心臓を捧げることで一人の病を喰う。


2 影の住人。自由に影に入れる能力。ただし他の人を影にいれるには4人の男の心臓が必要。影に入れる人間は、一度入るとその後もシンの体の一部に触れていれば入ることができるが、影の中でシンから離れると二度と地上に戻れない。影に入れない人間がシンに触れている場合シンは影のなかに入れない。

物はシンが持てる量、ただし手を離すと取り出すことができなくなる。

影から影への移動は可能だが、他の人をつれている場合、大きな影からしか出れない。」


[能力] についてかかれているのはこれくらいね。


説明を聞いたティアは疑問が残る。


「あの、私は病気を治して欲しいと願ったのですが、他の能力はなぜ出てきたのですか?」


マリアンヌは少し考えたあと答えた。


「12人の男に囲まれて、あなたは逃げたいと少しも思わなかったのかしら?」


ティアはハッとする。確かに逃げ出したかった。でもユゼを救うために踏ん張ったのだ。


「まぁ12人だったのは予想していなかったわ。10人というのもこのくらいならある程度の願いは叶えられると思って言った数字だったのだけれど。」


ティアとマリアンヌが能力について話している間、シンは考えていた。


今聞いた能力の使い方。

うまく使うことはできるか?

これ以上能力が増えることはあるのか?

疑問は多いが、一番気になることを聞いた。


「俺に成長の可能性はあるのか?」


鼻がのびていた顔が嘘のようだ。

真剣な眼差しをマリアンヌに送る。


初めてマリアンヌがシンの目を見ていった。


「えぇ。この本は1ページにつき1人の男の心臓を使うわ。あとは書いてある通り、能力を使うにも男の心臓がいるし、能力が増えるにも心臓が必要よ。

能力を増やすにしても使用者の願いが反映するだけでどんな能力か細かく決めることは出来ないわ。病気を治して欲しい願いが病気を喰う能力になったみたいにね?」


この女の男嫌いは異常じゃないか?

なぜこうも男の心臓を欲しがるんだ?


考えたところで仕方がないが理由を聞いても答えてくれないだろうと思い、シンは疑問を一度心の隅に追いやった。


「分かった。でも、能力が増えたところで文字が読めないと正直辛い。増えたらまた来るから教えてくれないか?」


マリアンヌは少し考えたあと、


「...あなた達としばらく一緒に行動するわ。」


二人は驚くが、二人にとって悪いことではない。

本についてはわからないことばかりだ。作った本人が近くにいるなら心強い。


二人は喜んでマリアンヌを受け入れた。


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