No.5
No5
空に吸い込まれたと思ったらなぜか小屋のような場所に立っている。
しかも周囲は血だらけだ。
「なんなんだよこれ!?」
思わず声に出る。
映画で見るような中世の鎧をきた兵士達が胸を押さえて倒れている。
口からは血が出ていて周囲の血は兵士たちのもののようだ。
目線を落とすと開いた本に手を被せている少女と目があった。
「成功した!?」
少女が嬉しそうな顔をしている。
「は!?なにが!?というか誰!?」
考えが追い付かない。
どうみても異常な状況だし、何より自分は死んだんじゃ?
とても嬉しそうな顔を浮かべる場面ではない。
「お願いします!助けてくださいッ!」
少女が懇願してきた。
「待て待て待て!話も状況もなにもわからない!」
男は動揺している。
先に落ち着きを取り戻したのは少女だった。
「そうですよね。いきなりお願いされてもわからないですよね。とりあえずこんなところにいつまでもいるわけにもいきません。一緒に来てくれますか?」
男に異論はなかった。
血だまりの中で立っているよりマシなところだったらどこでもよかった。
ピチャピチャと気持ち悪い音をたてながら小屋のような場所から外に出た。




