No.3
No3
マリアンヌから本を渡された少女は、最下層と王都の間にある詰所に向かって歩いていた。
マリアンヌが言っていたのは、最下層の住人が王都に入ることのないように警備している兵士のことだった。
少女は悪魔と契約した気分だった。
いや、悪魔と契約するのは多分これからだ。
詰所につくと兵士が話しかけてくる。
「最下層の人間がなにしにきた!」
耳鳴りがするほど大きい声で言われた少女は恐怖する。逃げ出したい気持ちを必死に抑える。
「兵士さんたちにお誘いがありまして」
精一杯勇気を振り絞って言った。
生娘の少女が今からすることは失敗すれば強姦、成功すれば大量殺人。どちらにしても最低なものだった。
兵士の顔が警戒から下品な物に変わっていった。
「たまにくるんだよなー。お前みたいな金に困ったやつがさー」
そういって中に通された。
部屋には男が12人。馬小屋のような簡素な作りだった。
「そんな華奢な体で12人も相手にできるのかー!?」
兵士の一人が笑いながら近づいてきた。
「思っていたより多くてビックリしてます。」
少女は怯みながらもそう言った。
「きちんと全員の方をお相手出来るように出来るだけ近づいてください。」
男達は興奮しながら近寄ってくる。
「お相手する前に少し時間をください。準備しますので。」
少女は背中に紐で巻き付けていた本を出しマリアンヌから指示されていたページを開いて目をつむり手を被せた。
「ここにいる男12人の命を使い、私は願う!」
今まで生きてきて出したことのない大声を出した。
「なんなんだよこれ!」
若い男の声が聞こえた。
「もしかして失敗した!?」
少女はこれから自身に起こることに絶望しながら恐る恐る目を開いた。




