No.2
No2
「この本を使えば本当に彼は助かるの?」
泣き出しそうな顔で少女はマリアンヌから言われたことを思い出す。
「助けてくれる人がいないなら。助けてくれる人を呼べば良いだけでしょ?この本は使った人の願いに応えて呼んでくれる。そういう本なの。」
「本当に?そんなことができるの?」
少女は涙を拭って微かな希望を持つ。
だが続く言葉に少女は絶句する。
「この本を使うには代償がいるの。10人の男の心臓と引き換えにしないとあなたの願いはかなわないわ。」
少女がなにも言えないでいるとマリアンヌはまた不気味な笑みを浮かべて言った。
「あなた、なんでもするって言ったわよね?」
少女は今一度、自身の願いについて考える。
助けたい命は自分にとってかけがえのない命だ。
その人がいてくれれば、他にはなにもいらないと思えるほどに。
「わかりました。」
いまだに恐怖はあるが、やると決めた。しかし、不安は残る。
「こんな時間に、10人も男の人が集まっているところなんて最下層にあるんでしょうか?」
最下層にいる人間は基本的に日の出と共に活動し、日が沈むと寝るだけだ。
周囲に明かりもなく蝋燭だってタダじゃない。わざわざ夜に出歩く必要もないのだ。
しかしマリアンヌは言う。
「あるじゃない。こんな時間でも男がいる場所が。」




