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revivalの現実・サバイバル編  作者: 鹿藤伸仁
11/19

No.11

No11


小屋に向かって歩いていると、ティアがユゼに楽しそうに話しかけていた。


「晩御飯の食料ゲットだね!ユゼ!」


「そっそうだな!」


どうみても苦笑いだ。というか二人で話してるときはこんな楽しそうなんだな。

ん?待てよ。シンはティアに聞いてみる。


「もしかしてそのまま焼くのか?」


あの丸焼きみたいに。


「そうですが?」


こっちがおかしいことを聞いているような顔をしているがおかしいのはティアだ。

血抜きの方法も知らないのか...

しかしもう夕方だ。今から処理は厳しいな...


「ユゼ、そのイワトリを入れている篭を貸してくれ。」


「何に使うんですか?」


「今日はイワトリですよ!」


やけに丸焼きを押すなぁ。あれで自信があるのか。

だがあれはもう食いたくない。


「ティアよ。イワトリの料理は明日教える。そんでユゼよ、今夜はこいつを食う。」


シンが指差した先は川だった。中にはザリガニがうようよいた。


「チョッキンですか?」


チョッキンていうのこれ?

どうみてもザリガニなんだけど...

シンは気を取り直す。


「ユゼ、風を使って波を作ってくれ。篭にはいるようにな。上級は産み出すだけじゃなくて利用することもできるんだろ?」


「簡単です!」


意気揚々と答えたのは、丸焼きを食わないですむからに違いないだろう。

さすが上級というだけあって自由自在に風で波をつくってチョッキンを篭にいれている。


3人が小屋につくと早速料理を始める。


「ティア、鍋はあるか?あと塩。」


「それならあります。火も使いますか?」


頼む、と一言いうと井戸へ水を汲みに行く。戻ってくると昔の釜戸のようなところに火がついていた。


「火はどうやってつけたんだ?」


「この石を鉄の棒で擦ると火花があがるので、これでつけます。」


ティアは自慢げに話す。


メタルマッチか?


「どうやって手にいれたんだ?」


「これは、洞窟にいる一人にもらいました。とっても便利なんですよ?」


やはりそいつには会っておかないとな。シンの中で洞窟の少年の価値が上がる。


「鍋の水が沸騰したら塩を一つまみ入れ、あとは、ザリ...チョッキンを体が真っ赤になるまで茹でるだけだ。あとは、篭でお湯を切って出来上がり。」


料理の音に釣られて最下層にすむ他の子供達がやって来た。

子供たちはまずシンを見て


「ユゼを助けてくれたおっちゃん!」


と言ってくる。ユゼかティアが話したのだろう。次に釜戸にある鍋を見て言う。


「今日は丸焼きじゃないんだね!」


子供たちの嬉しそうな声にちょっとだけムっとしつつティアが紹介してくれる。


「左から順に、アイ、メイ、レイのブラウン3姉妹。この子達には畑仕事をしてもらっています。

次はベリー・ナナ、メリー・マスネ、チェリー・ゲハこの子達には果物の収穫を頼んでいます。最後は狩りを頼んでいる、ガン・ピロス、ゴール・シルド、ドラ・スー、ラン・プート、ジョン・レイダ、デク・ボーの6人です。」


シンはいきなり紹介されても全員覚えられないなぁ。と思ったが愛想良くしておいた。子供は嫌いじゃない。


「よろしくな。」


もう少ししたら出来そうだな。せっかくだ、全員で食おう。


「ティア、マリアンヌを呼んできてくれ。ユゼは洞窟にいるやつに元気な顔を見せてやれ、そのあとここに連れてきてくれ。」


待っていると、気だるそうなマリアンヌと目を腫らした少年がやって来た。

ユゼとティアがそれぞれ連れてきてくれたようだ。


少年の方がシンに言う。


「あなたがユゼを...本当にありがとうございます!」


少年が深々と頭を下げる。


「お前が洞窟にいるやつだな?名前は?」


「僕の名前はムーン・シリウスです。」


ティア、ユゼと違って大人しい印象だな。


「聞きたいことがある。今度時間を作ってくれ。」


「はい!わかりました!」


シンの楽しみがひとつ増えたところで晩御飯が出来た。


本当は泥抜きをしたかったが仕方ない。丸焼きよりマシなはずだ。


シンが食べている姿を見て子供たちも真似する。


「おいしい!なにこれ?」


みんな細かい足を取り、殻をはがして食べている。


ティアがいじけたように一口食べてみる。


「おいしい...水の中の生き物なんて食べたことなかったけど。こんなにおいしいのね!シンさん!私に料理を教えてください!」


「こんなのよりもっとうまいもんを教えてやるよ。明日は鳥の調理方法だ。」


シンはこの世界に来る前の2年間がこんなところで役に立つとは夢にも思ってもみなかった。


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