暗闇の中で
短いです。
◇暗闇の中で◇
湿った空気が漂い重圧がのし掛かったような、中央に丸いテーブルが置かれた暗い一室。
そんな一室に、五人の男女がいた。
「それで、あの蛇ヤロウを殺ったのか?」
「まぁな…」
男の一人は、そう答えた男に、あいかわらずだな……と小さく笑う。
すると、その二人の会話に幼い女の声が、
「そんな事より!!あの蛇ちゃんを簡単に倒した男の人について聞きたいんだよ!!」
うるさいガキ、と男の一人は嫌そうに耳を片手で塞いだ。
すると、もう一人の女が口を開く。
「確かに、あの男の事よりその黒い刀を持った男について聞きたいものだな」
「そうだ!!そうだー!!」
男はやれやれと言ったように息を吐き、男は静かに話始めた。
「あの男については未だ、正体はわかっていない」
「正体がわかっていない?オイオイ、そりゃあねーだろ。だってテメーのレギアは」
「やってみたが……それでも正体は掴めなかった」
「でもでも!!その男の人、レギア使ってたんだよね?」
男は口ごもり、黙る。
「まさか、レギアも使わずにあの蛇を倒したっていうのかよ!?」
「すごい!!すごい!!その男の人、すごい!!」
二人はその事に驚くが、楽しそうに口元を緩めた。
すると、もう一人の女は、
「その黒い刀に何か秘められた力があるようね」
「ああ………」
男はそう答えると、何かを考え込んだ。
だが、
「そう悩むな」
今まで黙っていた男が口を開けた。
「その男については、後々わかるだろ、そんな事より…」
その男がそう言いかけると、
「そうだな」
「忘れてねーよ」
「えー、私、そっちより黒い刀の男の人がいい」
「目的を忘れるな」
四人はそれぞれ、そう答えながらテーブルに視線を向けた。
男は言う。
「我々の目的は…」
テーブルに乗った、写真に写る、
「この男、ただ一人だ」
如月 光夜を睨んで……。