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レギア

久しぶりに更新しました。少し行間を少なくしてみましたが、感想があったらお願いします。




◇レギア◇




光夜はグッタリしていた。

普段ならここまで疲れきることはない光夜なのだが、今日は違っていた。

原因はと言うと……、


「これ何?見たことないアクセサリーだけど」

「まぁな。俺専用のだから」


学校の玄関前で待っていた新と出会った事から桜の脳内センサーが発動し、次第に二人は話が弾んでしまい、光夜の目の前でトークショーが始めたのだ。

一時間近くも………。



二人の会話に入っていけない光夜にとっては、疲れが溜まる一方であり、光夜はガックリと肩を落とし、深いため息を吐く。


「何、デカイため息ついてるの?」


そんな光夜に桜は新との会話を止め、尋ねた。


「別に……、てかいいのか?」

「何が?」


そっけなく相槌をうった光夜は、桜にそう問うと、桜はきょとんと目を丸くした。

光夜は再び息を吐き、


「だから用事だよ、用事。朝、お前が言ってきたんだろ?」

「あ!?……………」


桜は、はっ!?と口を開け、思い出したといった表情を見せた。光夜は、忘れてたのかよ………、と呆れた表情を見せ、


同時に桜の返答を待った。

すると、桜は…、



「まぁ〜…………いいや♪」



笑顔で光夜の問いを無責任すぎる言葉で解決した。

光夜はガクッ、と肩を落とし沈んだ。





それから、三十分後。


光夜の視線の先に、例の神社が見えた。


神社の石段を登る間、桜からの目を輝かせた質問攻撃は新から光夜へと移り変わったが、光夜はとりあえず無視し、石段を登り終え少し歩く。



そしてついに、光夜、桜、新、の三人は何かが祭られていた神社の前まできた。



「う〜ん………」


すると、新は辺りを見渡し始めた。


「どうした?」

「いや………ちょっとな…」


光夜は首を傾げながらそう尋ねると、新は怪訝な表情でそう相づちした。


光夜はもう一度、首を傾げ何だったんだ?と思った。

すると、その時。



光夜は、背後から服を引っ張られた。



振り返ってみると、そこには桜が立っている。


(あれ?確か、一人で先に走っていったはずじゃ……)


光夜は、そう疑問に思ったが、


「どうした?」


一応、尋ねておこうか、と桜にそう言葉を投げ掛けた。しかし、光夜はそこで桜の異変に気がついた。



唇が青く、体全体が震えていた。



さっきまで、笑いながら光夜に話かけていたあの笑顔がどこからも感じられなかった。


「おい!!どうした!!」


光夜は桜の肩を掴みそう呼び掛け、桜に何があったのか、と尋ねるが、桜は言葉を発せられず震える一向だった。


しかし、それでも桜は光夜に何かを伝えようと、震える指で何かをさした。


それを見た光夜は桜の指先の方向に視線を向けると、



そのさきにあったのは…、




地面に広がる真っ赤な血だった。



その瞬間、光夜は背筋が凍った。

ペンキか何かだと一瞬考えたが、近くに赤いペンキを塗るような物などはどこにも見当たらない。


(なら、これはいったい…)



光夜がそう考えた、その時。



ドン!!



光夜と桜の背中は、何かに強く押された。


突然の事で桜と一緒に地面に前から倒れた光夜、イタタタッ……、と声をあげ、何とか起き上がり後ろに振り返ってみると、



そこには、険しい表情を浮かべる新が片膝を地面につけしゃがみ込んでいた。



光夜は、何すんだよ!!と新に怒号を上げ立ち上がった時、



光夜は唖然とした。



何故なら、さっきまで、光夜の直ぐ近くに立っていたはずの木が真ん中から何かに食べられたような後を残し、綺麗になくなっていたからだ。


すると、


「光夜…」


光夜の前で他の方向に視線を向けていた新が、小さく呟いた。


「お前は桜を連れてそこの木の後ろに隠れてろ…」


そして、光夜にそう言い残すと、新は視線の先へと走り出した。


光夜は戸惑った。

だが、


当たり所が悪かったのか、気絶した桜に視線を向けると、ひとまず言われたように木の後ろに隠れることを考えた。




一方、新は神社の中心辺りで足を止め辺りを見渡した。

すると、新の耳に、


「へぇ〜…………」


どこからか男の声が聞こえてきた。それは不気味な低い声だった。


だが、新はいたって冷静な表情で目を細める。

すると、その時、



ザァザァ……



新の周りから地面を擦るような、何かがうごめく音が聞こえてきた。


そして、さらにその音は段々と大きくなり、けたたましい音へと変貌し、


次の瞬間。




ドオォン!!




まるで車と車が衝突したような音が新のいた場所から響き渡った。

だが、



ドオォォ!!



突如、新の目の前に巨大な蛇が現れ、地面に倒れた。


「なっ!?」




不気味な男の声が驚きの声に変わった。それは全く予想できなかったことだったのだろう。

あまりの事に、驚いている事が耳からでも伝わってきた。



「透明になれる蛇………か」



だが、今の新にとってはそんなこと、どうでもよかった。

新は不適な笑みを浮かべ、蛇を睨み付けていた。



黒い刀身をした刀を握りながら…



「お前………まさか、レギアか……」



すると、どこからか聞こえてくる男の声はそう言いながら震え出した。


「レギア?…残念ながら違うぜ」


しかし、新は肩に黒刀を担ぎそう断言する。

そして、


「それより、素直に出てきな。今だったら、まだ許してやるぜ」


視線の先に倒れる蛇を見ながら刀を肩から下ろした。


しかし、その瞬間。




シャァァァァァァァァァァァァァァ!!




倒れていた蛇は、体を素早く起き上がらせ声を上げた。それはまるで、怒号のようにも聞こえた。



新は息を吐く。



まるでやる気のないようなため息だった。


だが、



「許してやるって言ってんのに。しゃーねぇな………」



その目は一瞬にして、獲物を狩る目に変わる。




新は刀の柄を右手に持ち、横に振る体勢を見せ、蛇を睨み付けた。


そして、残った左の掌を刀の刃がない方に置き、


蛇に向かって言い放った。



「荒神流、風式…………………………………波風!!」



刹那。



ボキィ!!



蛇の体は、くの字になり、不気味な音が鳴り響いた。


シャァァ………


だが、蛇は倒れはしなかった。ゆっくりと体を動かし、新に食らいつこうとする。



しかし、次の瞬間。



新は足に力を込め、人間ではありえない、跳躍をした。


そして、蛇に頭上まで跳躍した新は蛇に向かって、両手で刀の柄を握り、静かに呟く。










「荒神流、攻式…………………流円落下」



ズドォォォォォォォォォォォォォォン!!!









神社に砂煙が立ち上る中、蛇は横たわっていた。



「やり過ぎたかな?」


そして、新は頭をかき、倒れた蛇を見た後、後ろに振り返ると、


そこには、髭を生やした中年の男が倒れていた。


「じゃあ、教えて…………ん?」


新はその男に近寄り、この蛇について聞こうとした時、あるものに気づく。


それは、紫色をした壺のような物だった。


「何だ、これ?」


新は首を傾げ、拾おうとした時、


「俺のレギア!!」


男はいきよいよく立ち上がり、その壺に覆い被さった。


だが、次の瞬間。



「ガァッ!!」

「なっ!?」



赤い閃光が男の背中を貫いた。


新は直ぐ様、閃光が来た方向に振り返ったが、そこには誰の姿もなかった。


「クッ…………」


新は歯を噛みしめ、視線を男に戻す。


閃光は心臓を見事に貫いていた。即死だった。



風がその場を通りすぎ、まるで新を慰めるようだった。


だが、新は死ぬ前に男から発せられた言葉を思い出し、呟く。


「レギア……」



この言葉がこれから始まる戦いの中心にあるとも知らずに…




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