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神の力


荒い息。

光が治まる中で光夜は息を吐き、しゃがみこむ。


「はぁ、はぁ、…………まだ行けるか…」



戦闘中。

かすかに感じた微弱に気配。

光夜は残った輪を気にしつつ、1と出された五つの輪の一つに力を入れた。そして、地面を踏み込み、


「!」


光が屋上から飛んだ。









「神の……力……」


少女はその言葉に動揺を隠せずにいた。

普通、そんな言葉など馬鹿らしいと言うだろう。

だが、少女は知っている。いや知っているからこそ口にできない。


神でなくても、異物の力の存在を知っているから。



頬に汗が伝わる。

少女は小さく笑い、口を動かす。


「…はは……何それ…冗談にも」

「神にも色々な神がいる」


新の言葉が少女の口上を遮る。


「地を守る神、運命を左右する神、水や火、物質を司る神」

「…………」


そして…、新は二刀の刀を少女に向け、言う。








「存在と不存在、その二つを殺す神」




直後。

黒と白。

二つの刃がまるで鼓動したかのように気配を発生させる。

生きている…、そう言っているかのように。





だが、


「嘘だ!」


少女は叫んだ。

その声に同調するように手首につけられた腕輪が強烈な光を発する。



「私は認めない。神なんているわけがない!」

「……………」


少女は怒号をぶつける。それは新も含め、神の存在そのものを不定した言葉。


「何が運命を左右する神だ……。何が物質を司る神だ……。そんなの、いるわけないんだ!!」

「……………」

「お前の力も、そんなのデタラメだ! あるわけない! あるわけが、ないんだぁぁぁぁぁ!!」


叫び声が絶叫のように鳴り響く。

少女の腕につけられていたアクセサリーはその光を最大限に表し、力をその場に出てきていた屍たちに与える。


屍たちは吸い込まれるように一体の屍に集まり、巻き付くように原型を変える。

それは、まるで。









全ての存在を道連れにする、巨大な右手。



「ぁぁぁぁぁあああああああああああッ!!」


力がその声に鼓動して一気に高まる。

そして、次の行動。それは…。







屋上ごと対象を叩き潰す。







「…………」


巨大な右手が頭上から迫る。

その内に秘められし思いが迫る。




新は二つの刀を同時に左右に向けた。

そして、


「ッ!!」


一気にぶつけ合うように刀を重ねる。

その直後に新自身を包み込む、黒と白。二つの光がその場を明るく照らした。。


「!?」


少女はその光に目を瞑る。そして、光が収まり目を開けた。

そこにあった物、それは、


「………な、何…あれ」







黒と白。互いに切る切らないを分けた刃に、鍔となっていた部分は新たな形、黒と白の玉をつけた火をイメージした姿に変わる。


「荒神流、攻式」



新はそう呟くと新たな刀を構え、頭上から降り立つ右手を待つ。

今まで見せた技の構えとそう変わりはない。



だが、今回は違う。










「奥義」









その一言。

たった一言にその場は一変する。


殺気。


それだけがその場に溢れ変える。








そして、やっと。







巨大な右手が新の構える刀に触れた。

刹那。










「闇朱雀」









ブシャァァァァッ!!

三つの裂目、そこから黒い血が飛び散る。

いや、血ではない。それは血に似た黒き翼と鳥の形をした頭。

異様な光景。


黒色に染まった鳥。




それはまさに、闇夜を支配する王。

闇朱雀。






「散れ」


バン!! とその言葉に反応したように巨大な鳥は右手を突き破るように飛び、はその場一体の上空からは黒い雨が落ちた。



「…ぁ………………ぁぁ……」


最大の一撃。

それを凌駕する力。


「答えろ」


新は一瞬にして少女の前に立ち、

刀を突き向け、尋ねる。


「何で、レギアなんて力に手を出した」

「…………ッ」


歯噛みする少女。

悔しいのだろうか…。新はそう思った。

だがしかし、少女の口から放たれた言葉。

それは、










「……会いたい……から…」


ポトッ、ポトッ。

小さな滴が少女の手に落ちる。

それはその少女の瞳。


そこから産み出された物、






「……お母さんに!…もう一度、会いたいからッ!!………」

「!?」


涙を流した少女の叫び。新は一瞬、隙を作ってしまった。

そして、直後。

新たな手が新を目の前に、少女を掴み取る。


「ッ!?」


少女を捕まえた影はそのまま上空に一気に飛び去る。

影。それは青い竜に乗った、以前取り逃がした眼鏡男だ。


「ッ」


舌打ちをしながら、ただ頭上を見上げるしか出来なかった新。

だが、その時、




「逃がすかよ!」




その言葉と共に、屋上に光が降り立つ。

如月光夜だ。


「オプション、衝斡の輪」


光夜は右手を対象に突き向け、光の輪を一ヶ所に溜める。

そして、



「臨輪衝光!」









直後。

光の一閃が対象に放たれた。


対象はふらついている。仕留めれる。

光夜は確信した。










「クッソ!!」


光の一閃が迫る。

眼鏡の男は焦る。今の状態では避けられない。

だが、それでもこの少女だけは助けれる。


男は竜の進行を変え、守るように一閃の直撃を少女から自身に変えた。


「だ、だめぇ!!」


庇おうとする事に気づいた少女は声を上げる。

だが、一閃は躊躇なく少女もろとも包み込む。










「混合式、連鎖風蝶」



刹那。

その言葉が聞こえた。




その直後。

包み込むように無数の蝶が羽ばたいた。





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