迫る闇
◇迫る闇◇
闇の中。
「…やっと見つけたぞ」
男は笑う。
「はぁー」
如月光夜は重い息を吐いた。
今、光夜は校門の前で空を眺めながら担任に用事を頼まれ職員室に行っている田中桜を待っていた。
半分は脅迫で待たされてるのだが、
「あいつ大丈夫かなぁ」
光夜はそうつぶやき、昨日のことを思い出す。
昨日。
「光夜、実は俺今日ば」
「晩飯食べたから今日はいいとか言うつもりじゃねえだろうな?」
「・・・・・・」
風霧新に逃げ出すタイミングを与えない光夜。
すると、
「おまたせ!」
田中桜の手により、ついに来てしまった。
地獄の鍋料理が・・・
「どうしたの、二人とも?汗なんかかいて」
「いや、何でもねえよ。なぁ、光夜?」
「あ、ああ・・」
「?」
二人の表情に首を傾げる桜。だがそんなことなど気にしている余裕はない。
新と光夜の目に写るのは桜が持つ鍋。
「さってと。今日は自信作なんだ♪」
桜はニコニコとした笑顔で鍋の蓋を開ける。
唾を飲み込む新。
だが、
「へ?」
間の抜けた声を出す新。
「どうしたんですか、新さん?」
「あ、いや・・・」
光夜の表情から不気味な料理を創造していた新。しかし、普通の料理だった。
全くまずい所など一つも見つからないに料理。
肉じゃが。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今日。
まさか全部食べるとは思わなかった。
あの後、鍋に入った肉じゃがを食べきった新は桜が帰った後すぐに倒れた。
光夜は以前の自分を見たような気がした。
光夜は息を吐き、そんなことを思い出していると、
「ごめん!待った?」
元凶犯の女がきた。
「全く、何してたんだよ・・」
「いや、ちょっと先生と」
「先生と?」
ムスッとした表情を浮かべる光夜。
そんな光夜に桜は、
「未知談してた♪」
「しばき倒すぞ!!」
男は遠く離れた所から光夜と桜を見ていた。
そして男はつぶやく。
「貰うぜ、衝斡の輪」