光と闇の行間
何ヵ月ぶりの更新ですいませんでした。
◇光と闇の行間◇
日が暮れた村の如月と表札がかけられた家に、田中桜はとある一室にいた。
向かいのリビングには新が座っている。
そして、桜の直ぐ側に、
「…………」
如月光夜が眠っていた。
あの後、公園で倒れた光夜をちょうど駆けつけてくれた新に家まで運んでもらったはよかったが、いくら声をかけようが光夜は目を覚まさない。
医者を呼ぼうとしたが、何故か新に止められ、時間が刻々と過ぎていったのだ。しかし、
「あの、新さん」
すっ、と立ち上がる桜。
もう待てなかった。
新に光夜を病院連れて行かせてもらおうとした。
だが、その時。
「う…ぅ………」
薄れた声が聞こえてきた。
光夜がおぼろげに目を覚ましたのだ。
「光夜………」
やっと目を覚ました光夜に安堵する桜。
「あれ………桜?」
「よかった……」
何が何やらわからない光夜は首を傾げていると、
「やっと起きたか」
入り口の直ぐ側からひょこっと新が顔を出してきた。表情から心配した形跡が微かに見える。
すると、そんな新から一言。
「全く、ガールフレンドを困らすなよ」
「な!?」
「!?」
直後。
二人の体温が一気に上昇した。
桜に至っては顔が真っ赤になりつつある。
「ななな何言ってんだか!?なぁ、桜」
「ううう、うん!?そうだよそうだよ!!あ、私向こう行くね!?」
桜はそう言うと、新の横を通り過ぎ向こうへと走っていった。
そして、二人だけの静寂後、新は光夜に振り返り、
「えー…………………………図星?」
「違があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぅ!!」
光夜の叫び声がこだました。
辺りが暗く、周りから奇妙な鳴き声が聞こえる森の中、
「アニキ……」
腹部を押さえながら男は目の前にいる男に歩みよっていた。
「大丈夫か、花木」
アニキと呼ばれた男は、腹部を押さえながら歩いてくる男をそう尋ねた。
だが、花木と呼ばれる男は、尋ねられてるにも関わらず答えようとせずにいる。
しかし、数秒たつと花木は震えるように言った。
「な……何なんだよ……あのガキ……。何なんだよ……あのレギア……」
花木の言葉に、男は目を細める。
「レギアが発動したのか?」
「は……はい……」
「何て名だった」
「…し……衝斡の…輪……」
すると、その言葉を聞いた男は口元を緩め、
「衝斡の輪……か」
「アニキ……知って…」
「ああ、衝斡の輪は俺が一番欲しい力でな、番号文だけ人間場馴れした力を発揮する伝説物なんだよ………あん。お前、地魔赤はどうした?」
花木は絞り出すような声で、
「潰されたんだよ、だけど、レギアは持ってるから」
ポケットから赤い鎖を取り出し、男に見せた。
「そうか、よく頑張ったな」
花木の肩に手を置いた男は口元を緩め、
「アニキ………」
ぼろぼろの顔で笑みを浮かべる花木に、
「でも、いらねーわ。それもお前も」
ブシュゥ!!
その瞬間。
鮮血が飛び散った。
一方、如月家では、
「そうか……」
新は光夜の話を聞き、そう呟いた。
「……………」
静寂が室内に漂う。
すると、その時。
「あ、光夜」
桜はちょこんと顔を出してきた。その頬には少し赤みがかかっている。
どうした、桜?と光夜が尋ねると、桜はにっこりと微笑みを浮かべ、
「今日は私が料理作るから」
……………………………………。
そう言って、鼻歌混じりで厨房へと桜は歩いて行った。
へー、よかったな……、と嫌な笑みを浮かべ光夜に振り返る新。
だが、そこにあったのは、
「…………」
絶望に満ちた表情を浮かばせる光夜の表情だった。
「……………」
新はそんな光夜の反応に徐々に冷や汗を感じ、『何、え、まさか料理オンチとかそんな系なの?』と尋ねようとした。
しかし、その時。
「新さーん!」
「ん?どうしたー」
「新さんの分も作りますから楽しみにしていてくださーい!」
………………………………………。
その瞬間。
新と光夜の表情は重なるのだった。
今回の話のイラストはまたゴロページに載せたいと思っています。