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約3000字漫才集

漫才【スマホ決済】

作者: 名もなき山田

ボケ=A(エー/小太り)


ツッコミ=B(ビー/細身)

A/B「よろしくお願いしますー」

A「なあなあビーくん」 B「どうしたのよ」

A「スマホ決済、て使ってる?」 B「あー、実はよく分かんないんだよね」


A「ええ~、勿体なー! でも名前くらいは聞いたことあるでしょ」

B「ま、そりゃ名前くらいはね」


A「今たっくさんあるからね。やれ何とかパイだの、○○パイだの。果てはパイパイなんてのもね、あるから」

B(首を傾げる)


A「どうしたの」 B「……ペイだねそれ」

A「ええ(困惑)」

B「だから、何とかパイじゃなくて何とかペイでしょ。得意げにパイパイ言うから驚いたよ」


A「あっ、あれペイって読むの!? P、A、Yで!?」

B「さっすが大卒だな」


A「はぁ……、そう、ですけど……(それが何か、という表情)」

B「皮肉だよ」

A「そうかペイかー、だからか~」 B「どうしました」


A「いやね、この前合コンの会計のとき俺がパイパイで払うって言ったら、みんなポカーンとしてたからさ、何でだろうって。そうか、あいつら俺が体で払うと思ってたのか」

B「確かにエーくんはパイパイ割とあるからね(Aの胸を触りながら)」

A「そんな、Pカップくらいだよ? (自分で胸を触りながら)」

B(黙殺)


B「それ店員さんも驚いたでしょ。デブが急に支払いはパイパイ言ったら」

A「そうなのよ。『パイパイで』の後の間ね。スマホ胸ポケットに入れてたし」

B「でもいいよね、何パーか還元されるんでしょ。やっぱりお得だよね」


A「そうよ~、ビーくんも絶対使った方がいいって。20日と30日なんか5パーセントオッフ♪」

B「イオン! ちょっと教えてよ、何? アプリをダウンロードするの?(スマホを取り出す)」

A「そう、アプリストアから……ん、それ、ビーくんアイフォンじゃないの?」

B「僕はアンドロイドですね」


A「何だよクソッ!!」 B「どこでスイッチ入ったんだよ」

A「えーと、じゃあどれにしようか……(Bのスマホを横から眺めながら)」

B「ちょっと待って。『どれ』っていうのがもう分かんない。スマホ決済アプリってたくさんあるじゃん」


A「やっぱり一番有名なのがいい?」

B「そうだね、みんなが使ってるのだと安心かな。やっぱり宮川さんの?」

A「ペイペイ……(小声でキレキレのダンスを始める)」

B(無視スルー


B「……インストール、と。おいパイパイデブ、これもう使えんの?」

A「……はぁっ……支払い……とうろく、して、はぁはぁ……っ(息切れ)」

B「んーちょっと怖いなぁ。クレジット……まぁしょうがないかー……よし」


A「そしたら後はお店で、そう、スマホにバーコード出るから」

B「ふーん、でもこれ会計のときいちいち『スマホ決済で』って言わなきゃいけないの?」

A「いいじゃないのそれくらい」


B「え、でも『うちはやってないんですー』ってなったら恥ずかしいよね? 『スマホ決済で(キリッ)』ってやってるわけだから」

A「んとにビーくんは心配症だなぁ。そんなときは――」


B「そうなったらもう大変よ? スマホが財布みたいなもんなんだから、こっち現金ないでしょ。財布にある程度入れておくの? でもそれで払ったらポイント還元されないじゃん。何なの、スマホ決済できる状態にして、ある程度現金も持ち歩くべきなの? エーくんは? エーくんはどうしてんの?」


A「……るせえ」 B「はい?」

A「うるせえんだよお前は、細っかいことグチグチグチグチ。あのなぁ、お前みたいなのがいるからスマホ決済が流行らねえんだよ。いやもう流行ってるけど、未だにレジ前で小銭でチンタラするゼニチン野郎いるだろ? 俺もうああいうのすげぇイライラしてさぁ、『次お待ちのお客様ー』って呼ばれるまでずーっとイライラすんのよ」


B「詰めろ。でもそっかー、スマホ決済ならサッとしてピッ、で終わりだもんね」

A「んん?」 B「いや(スマホ)サッとして(バーコード)ピッ、でしょうよ」


A「おまえ……さっきおれのごどでぶっでいっだか……」

B「ああそういうのいいよすげぇイライラするから」

A(絶句)


B「で、僕みたいな心配性はどうしたらいいんですか?」

A「それね、実はレジ前に書いてあるから。書いてあるっていうのも変か、ほらクレジットだってビザとかJCBとか色々使えますマークみたいなのあるよね」

B「あるね。スマホ決済も? 〇〇ペイ使えます、って? それなら安心かも」


A「でしょ? それじゃちょっと練習しとく?」

B「いや? 別にいいけど。だって書いてあるんでしょ? サッとしてピッじゃん。表示がなかったら現金で払えばいいし」


A「でも昨日導入したばかりでパートのおばちゃんとか慌てるかもしれないから」

B「誰? 誰目線なの? 分かったよやりたいんでしょ、いいよやるよ」


A「じゃあビーくんが店員ね。『ここがサンキューストアか……』」

B「一旦待とうか。まず僕の練習ですよね? なら店員はあなたでしょ。それに何『ここがサンキューストアか……』って。そこから始めるの? お前『ウィン(自動ドア)』とかやるだろ絶対」


A「んもー、じゃあ店員やりますよ。ビーくんがサンキューストア五号店に来店して、スマホ決済を使うところから。はいアクション!」

B「……はい、じゃ、これ(レジに買うものを置く)」


A「ピッ、ピッ、ピッ……えー合計で776円です」

B「えっ」 A「あっ」


B「もうちょっとでスリーセブン」 A「390円以上ですのでクジ――」

B「ななななろく! お前は398円のときとかに『あっ』ってなれ!」


A「だって『もう少しでしたね』とか言われたらすごく店員さん愛おしくなるから」

B「じゃあお前絶対言うな頼む」

A「お支払いはどうされ――? あっ……、お客さん、スマホ決済ですか?」


B(面倒臭そうに無言でスマホをAに向かって差し出す)

A「おサイフケータイですか? スマホ決済ですか? おサイフケータイですとこちらエディー、スイカ、ナナコ、ワオン、クイックペイなどございますがどちらでしょうか。あとアイディーもありました申し訳ございません」


B(両手をかざして一旦やめようのポーズ)

B「おい」 A「はいなんでしょう」

B「何だ今の」 A「と、申しますと?」


B「何か色々言ってただろ。エディーだとかおサイフケータイだとか」

A「あっ、失礼いたしました。こちらキャッシュレス決済となっております」


B「何、なん、なんだって?」

A「ですからこちらキャッシュレス決済となっております。もしかしてお客様、おサイフケータイはF、e、l、i、c、a、フェリカ、と呼んだほうが……?」

B「最後委ねてんじゃねえよ。あーもういい、もういいよ現金だ! 現金で払うからな!」


A「はいではこちらがお返しと……お品物になります」

B「はいはい。ったく二度と来ねえぞサンキューストア五号店」

A「あっ、お客さん!」 B「ああ? なんだよ」


A「クジ引いてってください!」

B「もういいよ!」


A/B「ありがとうございました」

_(._.)_

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