救出
今回は人間とエルフに焦点を当てました。人間の生活、戦争に破れたエルフの現在など、ファンタジーの中で戦後という世界観を作り上げ、種族がどのように過ごしているのかと言うことを設定に組み込みました。
ウル=ガルヴェ連邦王国は人口1500万人が住む合衆国で、おおよそ13カ国の小国、都市国家で形成されている。
海洋から内陸まで領土が伸びており基本海洋地方、内陸地方で分布される。
海洋地方は季節は年を通して温暖的だが、内陸地方は領土の外周に位置する山脈が近くなると周期的に寒冷期に突入することがある。
首都ー王令都市アルカディアは海洋地方に位置し海洋地方の南東にあるエーフック海を臨む。また、地形も特徴的で王令都市アルカディアは3つの運河が交差する海洋都市で、沿岸付近には小島が群規模で鎮座している。これらを利用して交通機関は基本船に絞られている。
アルカディアの心臓部、“王令城ウル=ガルヴェ”はひときわ大きい島の上に建設されており城に向かうには橋か船のみに限られる。これはもし敵がこのアルカディアに攻めてきたときは市民とともに城で籠城戦を敢行し付近の軍港から船を使い敵を相当するか逃げるかの非常事態を考慮している。それは亜人連合との戦争は過酷さを物語る。
城下は水産業で賑わうマーケットで賑わい、内陸地方からの貿易も強化され穀物や乳製品の品物も多く見受けられ、これらを買いに訪れる客の数は多く昼ともなれば人間でできた海と化す。
そして夜は昼の城下とは違う姿を見せる。まず目につくのは宿を誘致するもの、物騒な人間。活気な居酒屋など、別世界とも呼ぶべき様相を見せる。
都市から少し離れた森林に異質な建物群が存在する。奴隷、農奴売買を行う奴隷商だ。
粗末な木製の策の中では二人の兵士らしき男がエルフの少女を縄をつけて連行していた。一人はエルフが逃げ出さないようにしっかりと縄を握り、もう一人は身長ほどある槍を方に担いでいた。
「おい、しっかり歩きやがれ!」
縄を持つ男が縄を強く引っ張りエルフを急かせる。エルフの縄が巻き付いた腕は縄の隙間からは見えた肌は青く、内出血している。
「おい、あまり強く引っ張るなよ。大事な商品だって聞いてるぞ。」
「ああ?なんだ、そりゃ。」
「なんだって、貴族が近々聖戦勝利記念日だから特別な商品を用意しろだとさ。それで俺らの主は脾臓の品を持ってきたってわけだ。」
「へぇ、もうそんな時期か。」
男が縄を上に引く。それに吊られてエルフの少女は簡単に体制を崩し倒れ込む。
「テメェッ…誰に向かって休んでいいって言いやがった!?ああ!?」
縄を持った男は茹で上がったように赤くなりエルフの少女の腹にめがけて蹴りを入れる。
男は軽装ではあるが靴は加工した革でできており、先身には鉄板が入っている。
少女は途切れた金切り声を上げ悶える。
「おい、やめろって。後で何言われるかたまったもんじゃない」
「こいつが俺の言うこと聞かねえからワリぃんだ!!さっさと来い!!」
その時月明かりが陰る。雲が一切なく満月でもある今夜にとってそれは違和感がある現象で、槍を持った兵士は空を仰ぐ。
突如、槍を持った兵士は「きゅっ」という音を立てる。
「おい、どうした。」
縄を持った男は訝しんで顔を上げる。しかし上げる前に、顔に生暖かいものが飛び散る。
「なんだ、こりゃあ。」
額部分についた液体を拭うと、拭った袖は真っ赤に染まっていた。槍を持っていた兵士は糸が切れたように倒れ込む。
残った男は急いでエルフの少女を掴もうとする。この女ではなく兵士を殺したということは、自分達に敵対する存在であり、この女に価値が存在するかもしれないと瞬時に判断する。
だが、逆に男は襟を何者かに捕まえられる。
男はなりふり構わず大声を叫ぼうとするが出た声は甲高い音。男はこれが瞬時に喉笛をかき切られた音だと判断したときは遅く、意識が遠のき膝から崩れ落ちる。
「おい、大丈夫か。」
差し伸べられた手にエルフの少女は困惑する。その言葉は誰に呼びかけられたのだろうかと。自分を連れ回していた男二人はすでに死んでいる。
悶絶していたエルフは蹴られた場所を抑えながら顔を起こす。
身長2m以上はあると思われる身長に丸太のように太い腕、顔は整っているが顎には巨大な古傷があり威圧感を感じる。髪は黒くオールバックで額にバンダナを巻いている。
エルフの少女に手が差し伸べようとした瞬間意識が途切れ目の前が真っ暗になった。
今後はこのエルフの少女、少女を救った謎の男。これらを中心に書いてゆくつもりです。