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ひとくちサイズの小説  作者: 島吉里実
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天の川と桜の木

「お姉さん、この絵に合う額縁を教えてください」

 雑貨店員である私はお客様からその絵を受け取り、絵の枠を測る。八つ切サイズで収まりそうだ。私は売場から額縁をいくつか選び、お客様の前で並べてみせる。お客様は額縁の上に絵を重ね、どの額縁にしようか悩んでいる。

「お姉さんはどの額縁が似合うと思う?」

 私は額縁と絵を見比べる。お客様が持ち込んできた作品は切り絵である。黒い台紙の上には、金と銀の細かい切り紙の星々、その下に広がる折り紙の桜の林。天の川を見上げる桜の群とは、なんと幻想的なことか。

「お母さんはどれが合うと思う?」

 お客様は後ろに控えていた母親に尋ねてみる。母親は少し身を乗り出して確認する。気を抜くと消えてしまいそうな雰囲気が漂っている。子育てで苦労している様だ。

 お客様は悩みぬいた末、額縁と切り絵と一緒に私に差し出した。私はそれを受け取り、レジを打つ。母親が財布を開けた。

 お会計が済んだ後、私は額縁にはめるため、切り絵を裏返した。メッセージが添えられていた。

『○○さん、20年間ヘルパーをしてくれてありがとう!』

 そうか、お客様は私と同い年くらいか。私は黙って額縁の裏板を外した。


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