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ひとくちサイズの小説  作者: 島吉里実
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節約家

 男は生活を切り詰め、貯金に励むことが自慢だった。男は再利用節約と呼ばれるテクニックを持っていた。風呂水は洗濯水やトイレの水に再利用。牛乳パックはまな板に再利用。初めこそは創意工夫があり、周囲から褒められた。それに気を良くしてしまったためか、節制精神は日に日にエスカレート。最終的に常にタッパを持ち歩き、廃棄食材の再利用と称して他人の食べ残しまでもらうという卑しいことまで厚かましく行うようになってしまった。

 なぜ、男はそこまで節約に励むのか。男はスポーツカーが欲しかったのだ。唸るようなエンジン音、流れるようなフォルム、何よりあの加速力が男を魅了させた。スポーツカーへの憧れがタカリ精神の原動力だった。

 数年後、男は念願のスポーツカーを手に入れた。男はさっそくスポーツカーに乗ってドライブへ出かけた。風を受けるたびに今までの苦労が向かわれていくのを男は感じた。男が悦に浸っている時だった。スポーツカーはカーブを曲がり損ね、崖下へ転落し炎上。男は即死だった。 

 この訃報を聞いた時、皆は思った。

 スポーツカーを棺桶に再利用して、火葬まで行ったのだな、と。

 男は最後まで節約家だった。


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