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ひとくちサイズの小説  作者: 島吉里実
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経済対策

 男はこの国の将来を憂えていた。男は数年前、不況の煽りを受けてリストラを宣告された。男は前の会社よりも安月給の職場に転職している。恥ずかしくて知人に言えやしない。自分のような身の上の人間は山ほどいるはずだ。この悲劇をどこかで止めなければならない。

 昨今の不況は消費低迷が原因と言われている。要は物を買わないのだ。不況時、将来の不安から人々は収入を貯蓄へ回し、節約を心がけるようになる。売上が減るため、小売りやメーカーは投資活動をしなくなる。その投資先になるはずだった企業は利益確保のため、人件費を削減する――リストラをするわけだ。

 これを打開する方法はただ一つ。人口を増やすことだ。

 例え一人当たりの消費量が少なくとも、人口が増えれば全体の消費量――需要が増える。消費活動が活発となり、経済が成長する。その成長に対応するため、雇用が増える。

 男には確信があった。自分ならこの国の人口を増やすことができる、と。男は針を一本持ち、目の前に流れてくる製品に刺し始めた。

 今の彼の職業はコンドーム製造工場のライン工。


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