表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひとくちサイズの小説  作者: 島吉里実
16/18

英語上達法

 タクシーから見えるニューヨークの景色。緯蕪はタクシーの窓に頭をもたげながら呟く。

「私の名前って『イヴ』っていうでしょ?両親が海外でも通用できるようにって名付けてくれたの。だから、その両親の期待に応えたくて、英語の勉強を頑張ったのよ。だけど…」

 緯蕪は深いため息をつく。

「どの講師も英語ができる自分ってすごいって自慢しているようでそれが鼻についちゃうっていうか…」

 緯蕪の愚痴を夫は拳を握りしめながら黙って聞いていた。緯蕪は英会話教室に通っていれば自然に英語が身につくと思っている節がある。気に食わないとすぐに退会したがる。今回のアメリカ旅行のために退会を押し留めさせていたが、帰国後、彼女は今の英会話教室に通うことはないであろう。

 夫がこのように気が滅入っていることも知らず、緯蕪はある思い付きを口にする。

「講師陣と対話するから肌に合わないのかも。帰国したら次は通信教育に挑戦しようと思うの!その方が授業料も安く済むし!」

 夫の堪忍袋の緒が切れた。

「もっと安く済む方法がある!」

 夫はタクシーの扉を開け、緯蕪を外へ突き飛ばした。

「日本まで自力で来なさい!」

 走り去るタクシーを緯蕪は呆然と見つめ続けていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ