本の虫
「本の虫を捕まえたぞ」
彼らは山奥で妖怪・本の虫を捕まえた。本の虫は小説を食べるとその結末を再現してくれる妖怪だ。男は懐から官能小説を取り出した。
「俺、この小説を読んだときから、あの人妻に憧れていたんだ…」
その小説は押し入った強盗が美しい人妻を調教する物語だ。弱みを握られた人妻は強盗から様々なサディスティックな性行為を強要されるようになる。初めこそは嫌がるものの、人妻の中で強盗からの拷問が快楽へと次第に変化していく。人妻が強盗の身体を求めるようになった所で物語は終わる。
相方は男の言葉に黙って頷き、本の虫が本を食べ終わるのを固唾を飲んで見守った。本の虫が本を食べ終わると、その身体から粒子が飛び出す。本の虫が力を発揮しているのだ。あっという間に森が寝室へ変わる。男達の目の前に反りたった逸物をぶら下げた強盗と人妻が現われた。
「待っていました!」
興奮した男たちは人妻に近づくと、その身体を労るようにシーツで覆った。
「さぁ、逃げてくださいっ!」
人妻は訳も分からず逃げた。男たちは強盗と対峙した。そして、呟いた。
「これであの人妻と同じ体験ができるな…」




