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無理やり主人公  作者: がっかり亭
35/39

理解

 気がつくと、俺は波打ち際に倒れていた。

 どのくらい気を失っていたんだ!? 六角は、六角は無事なのか!?

 辺りを見渡すと、いた! 六角は磯に倒れていた。

「六角! 大丈夫か!」

 体はあちこち悲鳴をあげているが、構わず走り寄る。

 六角を抱き起こす。意識は……無い? 

「おい! しっかりしろ! 六角!」

 必死で呼びかけながら揺する。

「う、うう……ん……けほっ、けほっ……」

 すると、六角はうめきながら水を吐いた。

「……ツ……ツィレードは……どこだ……?」

 こんな時までそんな事を……。いや、六角の言うとおりか。縛鎖空間も解けてない。

奴はどこに……?

 その姿を探そうとして、ある違和感を覚えた。海水が、足元まで来ている。

 ここは、磯だったはずだ。こんなに水はなかった。

考えている間にもどんどん海水は渦を巻き、水かさを増していく。

 ……違う。水かさが増してるんじゃない。俺が沈んでるんだこの渦に。

 慌てて六角を抱き上げた、その時、目の前に突然ツィレードの姿が現れた。

『これはボルテクスアビス。はまればニ度と抜け出せん』

「は、放せ……このままじゃお前も……」

 六角が言うが、もう遅い。俺は腰まで渦に捉えられてしまっている。もう下半身はぴくりとも動かせない。

『少々追い詰めれば、潜在能力を開放するかとも思ったが……所詮この程度か……。深海の藻屑となるがいい』

 ツィレードはそう言い残し、消えた。

「貴様っ、待てっ!」

 六角の叫びが空しく響く。

「……くそっ、こんなところで……死ぬのか……」

「……お前、体は動くか?」

「……すまん……まだ、力が入らない……」

「やっぱ、そうだよな……」

 理解した。

 俺は主人公にはなれない。

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