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無理やり主人公  作者: がっかり亭
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嘘と真

 風景が一瞬にして背後に流れていく。ラジオは電波状況が悪いのか、自動で周波数を合わせるが、結局繋がらずくるくると数字を行ったり来たりしている。そろそろ県境で局が変わる頃だからかな。

 今日は休日。俺は六角をレンタカーで連れ出し、高速道路をドライブ中。

「……本当に敵のアジトがあるんだろうな?」

 助手席から六角が疑わしげな眼でこちらを見、聞いてくる。

「ああ」

 俺は即答する。嘘だけどな。

「しかし、なぜ遊園地なんかに……」

 俺も知らん。嘘だもんな。

「そもそも奴らがこの世界にアジトを持っているなんて聞いた事が……」

 俺も聞いたことはない。嘘だからな。

「行けばわかる」

 ないってことがな。

 こんな会話をしばらく繰り返していると、目的の遊園地、スターランドに到着した。

 星なのに月並みな名前とはこれいかに。あ、月も星か。衛星だ。

 スターランドはバブル期に建てられた遊園地で、その名の通り星座や宇宙をテーマにしている。流星コースター、ペガサスゴーランド、ブラックホール屋敷、プラネタリウム観覧車……まぁ、そんな感じのアトラクションがある。

 その微妙なネーミングセンスからわかるかもしれないが、いまいち流行っていない。星をウリにしてるくせに6時で閉園するのもどうだろう。

 だが、人気がいまいちだからこそ意味がある。

 綺堂が家族で出かけたとして、ここに来る可能性は低いはず。繰撫市からなら、同じくらいの距離で人気の遊園地は他にもあるからだ。

 要するに、綺堂と会いにくい遊園地ならどこでもよかったわけだ。綺堂と六角が遊園地でばったりなんて、今までの苦労が水の泡だ。

 とりあえず、窓口でフリーパスを買う。入場料込みで3300円。二人で6600円。22ガンプラか……。ちなみに1ガンプラ300円。昔のガンダムのプラモデルが300円だった事からとある漫画の中で生み出された単位だ。商品の価値をガンプラ代と比べて納得できるか判断するのに使う。ひとり11なら、まぁ妥当なところだろう。マスターグレードのガンプラ買ったと思えばいい。

「それじゃ入るぞ」

「……ああ!」

 六角が険しい目つきで、答える。

 入るとまず広場に出る。立て札が乱立していて、各アトラクションの場所を示している。

「それで、アジトはどこなんだ?」

「ないぞ」

「はぁ?」

 六角の眼が点になる。そして、一瞬の間の後――

「ふざけているのかっ!」

 激昂する。大声で叫んだ為に、周りの客が一斉にこちらを向き、係わり合いになりたくないといった具合に目を逸らす。痴話喧嘩とでも思われてるんかな。

「今日は遊びだ」

「な……き、貴様!」

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