梅雨
時の過ぎるのは早いもので六月。そろそろ梅雨前線が雨降らしまくる季節だな。
六角が転校してきたのが五月だったから、一月たったわけだ。
ということは共同生活も一月だな。その間うっかり風呂を覗いたりとかいう事はないぞ。俺くらいのオタクになると、そういうイベントを敢えて回避する事も可能なのだ。本とかアニメの中なら読者サービスとして必ずといっていいほどそういうシーンがあるが、たいていうっかり覗いた主人公はボコボコにされるからな。流石にむやみに殴られたかない。
まぁ、そんな事はどうでもいい。
とにかく一月になるわけで、色々と六角から情報を入手したが、まだ聞いてない事がある。
それは六角がなぜ間藤高校に潜入しているかという事と、討練師の組織についての事だ。
なぜ聞かないかというと、さすがにスパイと疑われるような事は控えておきたいからだ。
とはいえ、目的は知りたいからな。用務員の仕事の合間に情報収集をしてたんだが……。
六角に何かを探している様子はないのだ。
という事は探しものではないという事だ……と断ずるのは気が早い。バルフレアは六角を末端だと言ってた。何も知らされないまま、囮にされてるのかもしれねぇ。
その探しものが綺堂なのか他なのかはわからんが、朽狗級とやらまで出てきてるんだ、大事なもんなんだろう。例えば、世界を切り裂く聖なる剣とかなんかそういう感じの。
一応、何かを探してるような奴を探してはいるが、そんな奴俺くらいしか見当たらん。それよりは、次の敵のことを考えた方がいいのかもしれないな。
六角によれば、勝虎級は四人で正体不明。それぞれ二人ずつ配下の朽狗級がいて、死神バルフレアの他、木のパナサイト、洞のリグボルタ、雨のラーゲルト、雲のシロウタ、羽のテルケンダス、夢のアルガス、虹のリリセルダの七人がいるらしい。よく覚えたでしょ。ほめてほめて。
これから梅雨に入る事を考えると、おそらく次に出てくるのは雨のラーゲルト。雨っていうぐらいだからな。季節ごとのイベントないし気象条件に合わせた敵が出てくるのは定石だ。
名前から察するに能力は水を操る事だろう。場合によっては自分も水に溶けて物理攻撃不可能かもしれない。
さて、どうするか考えとかなくちゃな。