僕、勇者候補生に紛れています。
一体どういうことだろう?
僕は、目の前の光景に唖然とした。
ファーストフード店の面接に来たのは覚えている。
そして、店員からこちらの扉の奥に店長がお待ちしていると確かに聞いた。
が、実際開けて入ってみるとーーー
何故か鎧を着てるのやらマントを羽織ってるのやらが9人が縦一列に並んでいた。
いや、それだけでも十分おかしいけど
見渡すと本かなにかで見たような宮殿っぽい場所だった。
まぁ、不安要素ばかりな場所だけど
これも面接なんだろうと思い9人目の後ろへと並んだ。
僕らの目の前には白いドレス姿の美しい女性と黒いスーツ姿のこれまた美しい女性が立っている。
10人目が来たのを確認してから
ドレス姿の女性が口を開く。
「勇者候補生達よ、ようこそおいで下さいました。私はこの世界の平和の象徴とも呼ばれる神です。現状、魔王軍の侵略によって世界が崩壊しかけています…どうかお力をお貸し下さい」
目の前の神と名乗った女性が頭を下げる。
続いて黒いスーツ姿の女性も頭を下げる。
いやいや、何て言った?
勇者候補生?
魔王?
そして、神?
ここはハンバーガーを提供する店じゃないの?
「では、一番前の方からご紹介させていただきます」
いつの間にか、頭を上げていた黒いスーツ姿の女性が一番前の鎧姿ーーーもとい鎧君を紹介し始めた。
鎧君の名前はガイ
体格はゴツいな…
顔はもっとゴツいな…
正直意味がわからないけど
普通の人より能力が数倍上らしいと
紹介していた。
神と名乗った人物は嬉しそうに頷いている。
どうやら、紹介が終わったら付き人を用意してくれていたらしく可愛らしい女の子が現れて一緒に消えた。
消えたというか移動したみたいな
なんかテレポートとか言ってたし。
二人目の名前はクロエ
見た目は男のような女のような
背は小さく髪は長い。
クロエは魔力というのが相当高いらしい…
まぁ、どうでもいいけど。
そうして、点々と紹介されていってついに僕の番がきた。
「えぇっと、こちらはあの百年に一度と言われるぐらいの逸材でして必ずや魔王を倒し………て………」
意気揚々と語り始めた黒いスーツさんは
僕の顔を見るなり弱々しくなった。
そしてーー
「誰?」
と一言言ってきたのだった。
「それはこっちのセリフだよ! 第一魔王とか意味不明なんですけど! 頭沸いてんじゃない?」
「はぁ? ってかあんた誰? 何でここにいるの? お帰りはあちらでございます」
何だこの女! 今までと全然態度違うじゃん! ちょっと綺麗だからって!
僕だってこんな所に来るつもりなかったし
面接とか全く関係ないし、いや途中からわかってたんだけど…
まぁ、いいや巻き込まれる前に早く帰らせてもらおう。
と思い、体を反転させたところで
扉が無いことに気づいた。
「出口ないじゃん! 閉じ込める気かバカ女!」
「いちいちムカつくわね…お母さんどうにかならない?」
このバカ女は神と自称した美人なお姉さんに声をかける。
ってか、コイツら親子かよ。
「まぁまぁ、落ち着きなさいクレア。コレも何かの縁だと思います。あなたの名前を教えていただけますか?」
娘と違って普通に良い人!
さすがは自称神様!
「立花マナト高校二年の十七歳てす」
「マナト? あー、どうやら勘違いしたわ…私が呼んでいたのはマナト・フェニックスという名前でイケメンでイケメンで最強に近い人なのよ! それがこんな……」
「おい、僕をそんな哀れな目で見ないでもらおうか!」
大体イケメンを連呼するな!
男は顔じゃない!はず…
それに、フェニックスってなんだよ!
不死身だったら最強に近いかもしれないけど…
「立花マナトさん、大変申し訳ありませんがどうかご協力して下さい。なんでも致しますので」
「わかりました。微力ながらもやらせていただきましょう」
即答してやった。
面接? そんなものはどうでもいいね
なぜなら、こんな美女に頼まれたら嫌とは言えないから!
「バカじゃないの? あんたが行ったところで瞬殺されるのがオチよ? 今ならお母さんがゲートを開いてくれるから帰れるわよ?」
「え? マジで?」
一瞬躊躇しかけたけど
すぐに思い直す。
あの美女にお願いされたら
頑張っちゃうよ!
こうして考えると僕は熟女好きなのかな?
いや、でも見た目は二十代前半な感じだけど…
「ありがとうございますマナトさん。こちらに非がありますので向こうの世界へと送ったら資金の方を大量に用意させていただきます。どうかマナトさんにご武運を」
その言葉を最後に僕の体は光に包まれた。




