2話 自己紹介
「改めて自分は、橋立 勇希です。ステータスの能力値は、最高が100です。ところで平均能力値はどの様な感じですか?」
「ウム、能力値は10前後が普通だな。だが勇者は10倍の100前後だ。スキルも教えてもらいたい」
「スキルは、剣術、肉体強化、雷魔法、光魔法、治療魔法です。スキルは何か違いはありますか?」
「スキルは、一般人は無い者もおるな。だが勇者は5つと言うのが普通だ。ふむ、こちらとの違いを言うと、騎士団入団資格スキルが3つ必要になる」
「そうですか、ありがとうございます。」
王様と問答しつつ、チラリと皆を見ると顔から同情や義憤の色が消えていた。どうやら通じた様だ。ならばいつまでも俺だけが会話しているのは不味いだろう。会長に話しを振る。
「会長はどうですか?」
「わかった。此処からは俺が話そう。初めまして人族王様。俺は蛟 和貴です。ステータス能力値は耐久が低く80です。スキルは剣術、肉体強化、火魔法、光魔法、指揮です」
会長のスキル構成は騎士タイプ。
会長が話し終わると「次は、誰行く?」「言い出しっぺからね」と言う声が聞こえて、ボブカットの細身の女子が一歩進み出た。
「初めまして。私は安土 加菜と言います。能力値は運が70と低く、スキルは剣術、ダッシュ、肉体強化、察知、隠密です」
安土は暗殺系なのだろうか、騒が……いや、明るい性格には、余り合わないスキル構成だ。
「次は私が。私は泉 結穂です。ステータス能力値は70という数字が多いです。スキルは治療魔法、筆記、マップ制作、調薬、工作です」
「初めまして。鴻 勾です。ステータス能力値は80がほとんどです。スキルは土魔法、木魔法、解読、速読、察知です」
「次は俺っス。俺は筧 松吉っス。ステータス能力値は運が75あるっスが、スキルは……、なんか1つしかないっス」
「称号はないのか? 言ってみよ」
「称号っスか、えーと『勇者の卵』っスね」
「その称号さえあれば勇者の証じゃ、昔の勇者の中に一人スキルが1つの者がいた。5つ分のスキルの力が合わさった能力だったと伝え聞いている。その勇者は戦闘向きではなかったとも伝わっておるが。スキル名を聞きたい」
「反射ってスキルっス」
三つ編みで少々小柄な泉、おとなしい鴻、軽い性格の筧。
それぞれ支援系、後方支援系、なんだか解らないラノベで云う所のチート系の能力と考えれば良いだろう。
「久内 克臣、能力値は運が70、スキル水魔法、治療魔法、調薬、料理、裁縫。……以上」
久内はちょっと長目の髪に細身、必要な事以外は喋らない無口加減は、平常運転の様だ。
俺と違い器用な奴だったよな。
「次は私だね。初めまして王様。私は小低 千弦です。ステータス能力値は耐久が70です。スキルは剣術、弓術、肉体強化、遠目、察知です」
地球では弓道部に所属していた小低が、弓術スキルを持っているのは地球での能力もスキルに出ると考えれば良いだろう。
レンジャータイプか。
小低は去年ポニーテールしている髪を、文化祭で巫女さんが結ぶ様な髪型にした所、持っている弓と相まって、とても似合っていた。犬〇叉の桔〇みたいと言う意見が多かった。ファン倶楽部は無いが、人気がある。
――閑話休題――
どうやら出席番号順に挨拶する様だ。次は幸川か?
……どうやら当たりみたいだ。
「俺は幸川 刀士だ。ステータス能力値は70が半分だ。スキルは投げ、受け、盾術、ダッシュ、肉体強化だ」
190cm近くガッチリした体格の幸川は、バスケ部のCを勤めるレギュラーだ。少々脳筋気味ではあるが、けしてバカではない。
スキル構成は、どう考えても重戦士タイプだ。実に幸川らしい。
「初めまして。私は守堂 チカ(スドウ)です。ステータス能力値は運が70以外は、大体同じです。スキルでの鎚術、盾術、肉体強化、光魔法、治療魔法です」
長身で、長い黒髪を背中で一本に結んだクールビューティー。と言えば守堂だろう。
スキル構成は接近戦と回復役に向いている。
「次はあたしです。あたしは千樹 伊吹です。ステータス能力値は65がいくつかあるので、弱いですね。スキルは火魔法、水魔法、光魔法、治療魔法、魅了です」
Wでクリーム色の癖の強いショート、身体は小柄でマスコット的な存在ではあるが、小悪魔的な所がある。学校では学級副委員長として腕を振るっている。主に委員長の心労という意味で。
スキル構成は魔法使いタイプ。魅了が千樹らしい。
「初めまして、竪林 集です。ステータス能力値は80が大半です。スキルは木魔法、雷魔法、治療魔法、筆記、仕訳です」
眼鏡を掛けた頭の固い委員長タイプと言えば良いだろうか、事実委員長なのだが。
魔法使いタイプだが、文官系だな。
「初めまして。近綱 享です。ステータス能力値は、俊敏が70です。スキルは、治療魔法、魔法陣、式魔法、調薬、筆記です」
ヒョロリとしているが、外見など関係無いほど親切な奴だ。自信を持って欲しい。
設置型魔法の使い手になるだろう。
「初めまして。私は津島 由那です。ステータス能力値は、筋力が70です。スキルは、集中、速読、マップ制作、罠発見、罠解除です」
由那の奴もろに本能力を……。
トレッジャーハンター系の能力か。
「初めまして、国王様。わたくし七地 代里と申します。ステータスの能力値は80、85でしょうか。スキルは、火魔法、調薬、指揮、宝発見、…ま、マーキングです。」
「そちは、貴族の出か?」
「いいえ、わたくしは商人の娘に過ぎません」
「そうか、ずいぶんしっかりしている」
長いウェーブの髪に、高めの身長。商人といっても豪商だなと苦笑が漏れてしまう。
スキル構成からいくと、後ろで指揮するタイプの様だ。
「最後はボクですね。ボクは松風 修です。ステータス能力値は、60あるので弱いかもしれません。スキルは剣術、風魔法、氷魔法、思考加速、レーダーです。お役に立てるでしょうか?」
「う、ウム。大丈夫だぞ」
「そうですわ、他の方がいらっしゃいますもの!」
ウルッと涙をにじませて語る松風に、何でスキルに演技がないのか! と言いたい。王様と王女様、おもいっきり嵌まってるが、俺達に見える時、手で隠していたが舌出てたぞ。バレたらどうするんだ。
これだから松風は! 癖っ毛で低めの身長に女子と見違う外見と違い。イタズラ好きというか腹黒系というか。ため息出そうだ。意地で出さないけどな。後で何言われるか解ったものじゃない。
「ご苦労だった、疲れただろう。部屋に案内させよう。」
最後まで書いて間違えて消してしまいました……。
3/20 修正しました。