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私は装備を整えることにしました

 私は朝起きると、すぐに宿を出た。


 大通りに出ると、多種多様な店が所狭しと立ち並んでいた。


 私は左右を交互に見ながら、大通りを歩く。


 少し経って、私は目的の店を見つけた。店の前には一人の女性NPCが立っていて、看板片手に客引きをしていた。


「どうぞ、ゆっくりと見ていってくださいね!」


 私に気づくと客引きをしていた女性NPCはにっこりと笑顔を浮かべた。


 私は軽く会釈してそのまま店の中へと入る。


 中に入ってすぐに複数のNPCが、『ようこそ、オレルマリー武具店へ!』と一斉に口を開いた。


「お客様、何かお探しの物はございますか?」


 一番近くにいたNPCが笑顔で私に話しかけてきた。


「いえ、少し見てから決めたいと思います」


 私の返答にNPCは、「そうですか、ではごゆっくり」と言って離れていった。


 私はぐるりと店内を見回す。中は清潔感に溢れ、雰囲気も明るい。棚には武器や防具がずらりと並べられていた。

 この店を切り盛りしている者は全てNPCで、割合では女性の方が多いようだ。


 街にある店には二通りのものがある。

 プレイヤーが経営する店とNPCが経営する店だ。


 そして今回、私が訪れたのはNPCが経営する店である。


 何故かというと、プレイヤーが経営する店は良質な武具が取り揃えてあるが、その分高額になってしまう。武器や防具に使う素材を自分で揃えれば、ある程度やすくなるだろうが、あいにく初心者の私には手持ちがない。反対に、NPCが経営する店は武器や防具の質はそこそこだが、値段はリーズナブルで手が出しやすい。 


 つまり、前者は中級、上級者。後者は初心者や中級者になり立ての者が主なニーズの対象となる。


 故に私はこの店を選んだわけだが、


「うーん……」


 正直欲しいと思う物が見当たらない。


 ここに来たのは、装備を変更するためだ。


 私はソロプレイをしていこうと決めた。


 普通なら、スライムと戦う程度なら初期装備でも問題なかったのだが、バグというハンデを抱えたがため、もう少し上を目指さなければならないことになった。


 何故なら、スライム数十体を倒したところで宿代一日分にもならなかったのだ。

 男達からもらった素材は換金して、宿代約三日分。

 つまり、このまま何もせずにいくと四日後から路上で寝起きをしなければならなくなる。


 年頃の乙女としてそれはきつい。

 そのため、ひきこもるという私の夢を叶えることは困難になった。仮に一日中路上でごろごろしたとして、それはひきこもりとは言わないだろうし、それはもっと、別の何かであろう。


 現在私は、夢を追いかける以前に、人並みの暮らしも危うい状況になってしまった身である。そのため、私は今日から、今すぐにでも、寝床確保のために動かなければならないのだが……


 やはり、欲しいと思う物が無い。


 宿代のため、お金を少しでも節約出来るような安さで、ソロでもやっていけるような少しでも性能が高い武器や防具があればと思ったが……


 高望みしすぎたか?


 しかし命を預けるため、慎重にならざるを得ないがやはり。


 全て見終わったが、これといったものが無かったので、私は次の店に行くことにした。




 ◇




 私は次の店に入ってみたがピンとこなかった。


 次の次の店はしっくりこなかった。


 次の次の次の店はびびっとこなかった。


 次の次の次の次の店は……


 次の次の次の次の次の……



 ……



 気がつくと、私は十件もの店を回っていた。


 しかし、目ぼしい物と出会うことがなかった。


 時間もいつの間にか昼を越えていた。


 このままではただの時間の浪費になるだけなので、私は意を決して十一件目に、プレイヤーが経営する武具店に入ってみることにした。

 中はNPCが経営する店とは違い、散らかっているが、それらしい(・ ・ ・ ・)雰囲気があった。


「へい、らっしゃーい」


「ここで一番安い武器と防具はどれですか?」


「これだけど、どうだい?」


 店主である筋肉隆々なプレイヤーが持ってきた武器と防具はこれまでの物とは違い、性能が高くて魅力的だったが、やはりどちらも高かった。


 だが、予算ぎりぎりならかろうじて片方を買うことが出来る。


 私は迷った。もの凄く迷った。


 私の選択肢は今四つある。



 一 ここで武器だけを買う


 二 ここで防具だけを買う


 三 前に訪れた店で仕方なく武器と防具を揃える


 四 買わない



 私は悩んだ。もの凄く悩んだ。

 初めに四は即排除である。何のために時間かけたと思ってる。タイムイズマネーだ。論外だ。


 私は悩み抜いた末、一のここで武器を買うことにした。


「これ下さい」


「へい、まいど!」


 私はその武器を早速装備して、店を出た。


 防具は揃わず、初期装備のままだがモンスターの攻撃は避ければ問題ないだろう。攻撃を受けないということはポーションを使わないということ。つまり、お金を節約出来るということだ。


 そう考えると一石二鳥ではないか。


 とりあえず、装備を整えたので、私は次の目的地に向かうことにした。







 ……ちなみに、宿代は今日の分しか残っていない。


購入した武器についてなど、後ほど説明していきたいと思います。

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